No171記憶に残る経営者の言葉71 ゾーホージャパン株式会社(神奈川県横浜市;情報処理・提供サービス業)迫 洋一郎社長(当時)
今回は2018年9月に慶応義塾大学日吉キャンパスで開催された「人を大切にする経営学会 第5回 全国大会」の前日に企画されたゾーホージャパン株式会社の企業見学会から記憶に残る迫社長のお話をご紹介させていただきます。
同社は第 7 回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞審査委員会特別賞受賞企業です。
ゾーホー社はもともと1996年に米国ニュージャージー州で3名によって設立され、インドへ本社を移転後、2001年に日本法人を設立します。迫氏は縁あってゾーホージャパンの設立メンバーとなります。
同社は企業向けにIT製品を開発販売しています。
世界ではゾーホー社は順調に事業を拡げていましたが、2010年前後の日本では売上が伸びず、親会社の支援なくしては存続できない状態だったと言います。
営業部長だった迫氏が本社の意向で2012年に社長に就任します。
迫社長は最初に意識改革の必要性を訴え、理念経営への取り組みが始まりました。
“まずは理念をつくることから始めた”
“当時23名(社員の約1/3)が参加したプロジェクトチームでは、将来どんな会社になっていたいか、始業前の早朝やお昼休憩、夜の業務時間外を使ってブレストをした”
“理念経営をしている他社事例を一人1社探して発表した”
“8か月をかけ企業理念と行動規範をつくった”
さらに迫社長は1985年から2015年まで30年間の国内の企業数と貧困率の変化をもとに、企業としての使命についての問題意識を披露されました。
“企業数は535万社→382万社へ大きく減少”
“貧困率は12%→15.6%へ増加”
“企業が倒産せずに存続していれば貧困は増えないのではないか?”
ゾーホージャパンが提供する製品は、
“約80%の機能であれば10ユーザーまで無償で利用”
同社が無料に込めた社会へのメッセージを感じました。
その結果、多様な雇用と働き方(シングルマザー、難病支援、テレワーク、自宅勤務、サテライトオフィスなど)を実現させ、社内制度や福利厚生制度(さまざまな称賛や表彰、決算期慰労会、社員旅行、CSR活動など)が充実し、働きがいのある職場となっています。
2011年まで売上が上下していた同社。
営業部長だった迫氏が社長を任され、一年近くの準備期間を経て2012年に社員とともに導入した理念経営によって会社は大きく変わりました。結果として2012年から2017年までの6年間は売上が年20%の成長を遂げています。
以前に投稿した記事は ゾーホージャパン株式会社【No30企業見学会2018/9/14】 です。このブログ内を検索してご参照ください。
***補足***
この投稿では「法政大学大学院 政策創造研究科 坂本研究室」や「人を大切にする経営学会」での経験をもとに毎週火曜日にお届けしております。個人的な認識をもとにした投稿になりますので、間違いや誤解をまねく表現等あった場合はご容赦いただければ幸いです。(人を大切にする経営学会会員;桝谷光洋)
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