NHK「青天を衝け」 抜かずの宝刀

先週、NHK「青天を衝け」渋沢栄一VS岩崎弥太郎というタイトルで投稿させていただきました。皆様から放映を見ての感想を寄せていただき感謝申し上げます。合本VS独占の論争は実際の商戦へと発展し、算盤勘定を超えての死闘を描いた物語が今後展開されることでしょう。

別の視点から放映シーンについてご意見を頂戴しました。渋沢栄一に対する反感から暴徒が渋沢宅を襲う噂が広まっていることを書生が渋沢夫人の前で披露します。もし実際に襲撃を受けたらどうするかという夫人の問いに、書生は「武士の世も終わり警官が守ってくれるので安心だと」笑い飛ばします。それに対して渋沢夫人が怒って一喝します。「警官が来る前に暴行を受けてしまうではないか。剣は必要ない時代となったが、勇気は失うな」

「これって現在の安全保障の状況を反映させていますよね」というご意見を頂戴したのです。敵国が攻めてきても自衛隊がいるから安全だというが、自衛隊でない一般市民は自衛隊が来るまで暴行を享受するのか? 平和憲法の下で自衛隊が応戦できるものか? 自分の身は自分で護る。自分の会社は国の補助金に頼るのではなく自分の智恵で乗り切る。そんな覚悟を忘れていませんか?という内容でした。9月の自民党の総裁選挙でも論点になっていました。

私は日本史を研究しています。故郷奈良を渡り歩いた時に、今も名刀を作る有名な鍛冶職人からお話を聞いたことがあります。「自分は美術品を作っているのではない。実践で使える武士の魂を作ることに誇りを感じている。ただ、使えない武士の魂を作ることに人生の矛盾を感じ悩んでいる」。苦しそうな表情を見て、私は何も返す言葉がなく、ただ茫然としていました。ふと、映画「ラストサムライ」を思い浮かべました。明治時代の廃刀令の背景を見事に表現していました。刀という物を失っても侍という魂は失ってはいけない。刀は、自分のために抜くのではなく、人のために抜く。自分の生き様を表現するために命を使う。

NHKは反戦を自虐的に主張する番組が多いように思いますが、戦う勇気をNHK大河ドラマで表現したのは、私も面白いと思いました。是非、また皆さん各自の考えをお聞かせください。お待ちしています。(学会員:根本幸治)

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