知らないままハラスメントをしてしまう理由

あんな人がまさかのセクハラという事例に時々出会います。普段の対応を見ていると、セクハラと言われてしまうことをするような人ではないのに、セクハラ発言だという指摘を受けてしまうケースです。

その原因に、アンコンシャス・バイアスが関係しているかもしれません。

アンコンシャス・バイアスを日本語でいうと「無意識の偏ったモノの見方」です。典型的な例は、血液型を聞いて、相手の性格を想像し、確信してしまうなどという例が挙げられています。学歴等で人を判断してしまうなどの無意識のレッテルなどもその類です。

これがどのようにセクハラに関係するか、次の具体例を見てください。

*「親が単身赴任中です」と聞いて、まず「父親」を思い浮かべてしまう(母親は思い浮かばない)

*「性別」で任せる仕事や、役割を決めていることがある

*子育て中の女性に、転勤を伴う仕事の打診はしないほうがいいと思っている

いかがでしょうか。私自身の中にもアンコンシャス・バイアスがたくさんあると思っています。

 これがどうなるとセクハラになるか、といいますと、例えば、母親が単身赴任中だと聞いて、「え!お母さんが単身赴任なの?お子さんがかわいそうですね。」とか「ご主人は、日常生活に苦労されていませんか」などと会話が続き、それを聞いた相手が不快な思いをし、このようなことをいう人がいる職場にいることに苦痛を感じるようになってしまえば、これは立派なセクハラになってしまいます。

 それを防ぐためには、自分のアンコンシャス・バイアスに気が付くことが必要です。「普通〇〇だよね。」「〇〇な人って、こういう傾向があるよね。」等、あるカテゴリー等に類型化して思い込んでいることについて、その類型化に客観的かつ合理的な根拠があるのか、ということを考えてみることだそうです。そういう指摘を受けて、自分自身の発言等を顧みると、例えば偶々出会った人に同じカテゴリーがあっただけで、勝手に類型化してしまっている場合があることに気が付きます。

 自分のアンコンシャス・バイアスを発見することは、単にハラスメント対策だけではなく、経営にも役立つのではないでしょうか。

 (学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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