新しい形態の持株会社
6月6日の日経新聞朝刊で、経産省の中小企業政策審議会の中小企業の成長を支える新たな資金調達の中間とりまとめ案として、複数の中小企業を再編して持株会社の設立時の出資支援をする方向で調整するとの記事が載りました。
事業承継対策等で中小企業においても持株会社を設立するというような話は以前からありましたが、今回の記事は、それとは全く目的を異にする持株会社です。
記事の元となった6月6日付け中小企業政策審議会金融小委員会中間取りまとめ(案)を見ますと次のような内容が紹介されていました。
これまでスタートアップ・起業に投資をし、短期間にバイアウトすることを目的とした投資事業有限責任組合がありました。投資事業有限責任組合は、一旦投資をし、会社が一定の軌道に乗ったら株式を売却して、その利益を得ることを目的とした組合として利用されてきました。
今回、中小企業政策審議会が提案した仕組みは、そのような短期間の投資を目的とするのではなく、いくつかの中小企業をまとめてグループ化し、持株会社の傘下として、持株会社が永続的な経営指導をしたり、経営、広報、採用等、中小企業単独では難しい機能を持株会社に持たせて共有化するなどして、個別の中小企業の成長速度に合った中長期的な支援をするものです。
これによって中小企業が抱える弱点を補強し、グループ化のメリットを生かし、傘下の中小企業が成長することを目指します。このような持株会社に対して、政府系融資制度を活用しようという提案です。
運用によっては、中小企業経営を損なう可能性もありますが、承継者不足で廃業必至の昨今の状況をみると、一つの社会貢献型投資目的持株会社という方法も社会に必要とされるのかもしれません。
(学会法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)
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