リンクライン LinkLine 神原&青野

小田原にある株式会社リンクラインは、障がい者が働きやすい職場環境の確保と継続的な就労を可能にする為に設立された、コムテック株式会社の特例子会社です。2010年より石けん作りを始め、無添加石鹸やOEM(他社ブランド製造委託)を中心とした石けんを数多く手がけてきました。

代表取締役は神原薫さん。なにも専務取締役は青野真幸さん。                                  二人で特例子会社を立ち上げたきっかけは、神原さんがコムテック人事部在籍中に障がい者雇用の推進を任されたことです。神原さんは同僚の青野さんをパートナーとして強引に引き込みました。

どんな事業をするべきか悶々として視察を繰り返す中で、障がい者が活躍する石鹸工房と出会いました。障がい者でも高品質な石鹸を作り、実際にお客さんに喜んでもらえる。そして何より、従業員全員がイキイキとしていたことに衝撃を受けました。

製造ノウハウは先輩職人から教わるとともに自分で研究することで、なんとかまかないました。しかし経営は大苦戦。最初の3年間は赤字でした。

そもそも特例子会社を本気で黒字化させようとしている企業は少ないです。「グループ会社の障がい者雇用率を上げる」という義務が先に立ち、採算度外視になります。親会社としては赤字を補填してでも、障がい者の受け皿を担ってほしいのです。

神原&青野は、黒字転換を決意しました。健常者と障がい者の区別をなくし、一緒に働ける喜びを分かち合いたかったのです。させたいなと思いました。全員が生計を立てて行けることにこだわりました。

主力事業は、『li’ili’i』(リィリィ)をはじめとする自社ブランドとOEMです。『li’ili’i』はフルーツアイスバーを模した石鹸で、フルーツのパーツから全て手作りしています。リアルで可愛いと好評で、現在も常に生産が追いついていない状況です。

生産効率を向上させるためには、全員が作業工程を覚えています。石鹸工房は日によって忙しくなるポジションが変わります。人員を必要なだけアサインできるよう、全員のスキルアップを実現しました。

クオリティ管理は徹底しています。少しでも合格ラインに達しなかったら、やり直しです。この繰り返しによって、誰もが品質の高い石鹸を作れるようになりました。

消費者ニーズを掴んだデザインを研究し、高品質な石鹸をお届けしたことで、ブランドの認知度は瞬く間に広がりました。障がい者でも、やりがいのある仕事で黒字を出せると証明できたのです。

神原&青野の経営者は、収益拡大よりも、メンバー全員が自信を持って働き、普通の暮らしができるくらいのお給料を自分の手で稼げることを重視しています。今後は、皆が自立し働きがいのある特例子会社として安定した黒字を創出していく誓いを立てています。                       (学会会員:根本幸治)

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