「上向きのスパイラルを生み出していくきっかけを作り続けること」

中小企業人本経営(EMBA)プログラムにて4期・5期と2年間にわたり勉強させていただいております、有限会社ますいいリビングカンパニーの増井真也と申します。私は創業者である現会長の母から社長を継承してから数年間、社長の仕事とはいったいなんなのかをわからずに暗中模索の時を過ごしておりました。というのも元々母が経営していた不動産業に建築部門を立ち上げる形でスタートし、自分に共感してくれる仲間と共に建築家としてプレーヤー代表の仕事をするという経験しかなかったので、経営社とはいったい何をしなければならないのかが分からずにいたのです。

当初は経営とは売上利益を追求することと理解しておりました。そのせいで社員に冷たい言葉をかけてしまうことも多くありました。自分自身の言動に違和感を感じながらも、どのように変わるべきなのか分からずに、イラつき不安を感じながら経営者という仕事から逃げたくなるような暗闇の中で、数年前に聞いた坂本先生の講演会を思い出し、その講演会を主催した埼玉レディース経営者協会の栗田社長に「坂本先生に合わせて欲しい」とお願いしたことが大きな転換点となりました。面接を受けさせていただき、EMBAに入学し私の人生観は大きく変わったのです。

プログラムに参加し始めた1年間、私はさまざまな事例を学んでは、それを自社で取り組むということを繰り返してきました。まず初めに行ったこと、それは日本レーザーの近藤会長にアドバイスされたことで、「君が会社で怒ることをやめればほとんどの問題は解決すると思うよ」というアドバイスを受け怒ることをやめたことです。これは驚くほどの効果でした。次に有給休暇の取得率を70%にすること、35歳以上の社員とその配偶者は人間ドックを全額会社負担で受診すること、退職金規定の整備、DXへの挑戦、経営戦略会議・全体会議・全体研修会の開催、家族会、社員研修旅行、給料評価制度、賞与査定制度・・・とにかく様々なことを会社に持ち帰っては、役員会を開催し話し合い会社の中に取り入れてきました。さまざまなことに取り組んでいると会社が変化してきます。転職的離職率の低下、社員のモチベーション向上、確かに手応えはありました。一時はだいぶ減ってしまった社員数も、社員20名、パートスタッフ16名、合計36名の大世帯まで戻りました。でも何か足りない気がする、そこで2期目に通わせていただくことにしたのです。

2期目に入り、私はこれ以上新しいことを取り入れることをやめました。スタッフの募集も一時停止しました。今期の目標は「働く意義を考え一人一人の責任感や職業意識を向上させること」「自分たちの会社を自分たちで作る意識の醸成」「建築家としての自立性や個性を消さないように合理化を実現するマニュアルの作成」といった、緊急ではないけれど大切な仕事にじっくりと取り組むことを目指してスタートを切りました。具体的には以下のような取り組みを行なっております。

1「働く意義を考え一人一人の責任感や職業意識を向上させること」

致知を利用した、社内木鶏会の開催。

朝礼で日本でいちばん大切にしたい会社の読み合わせ

同業種同一地域の給料平均を上回る賃金モデルの作成

スタッフ同士3名以上の会合(飲み会)費補助(考えて話す機会を増やす)

2「自分たちの会社を自分たちで作る意識の醸成」

人を大切にする経営に即した就業規則の整備

就業規則の内容について社員と共に考える

3「建築家としての自立性や個性を消さないように合理化を実現するマニュアルの作成」

モデルハウス建築のタイミングでのマニュアル整備

こうした取り組みを通して仕事に対する意識向上を図っております。そしてこの意識向上自体が結果的には回り回って自分たちの働き方改革にさらにつながっていくのだという、「上向きのスパイラルを生み出していくきっかけを作り続けること」が経営者の役目であると考え活動しております。今後とも人を大切にする経営道に尽力していく所存ですので、変わらぬご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

人財塾4期・5期生  有限会社ますいいリビングカンパニー  代表取締役 増井真也

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