服務規程のあり方

就業規則には、必ず「服務規程」が記載されていると思います。そもそも「服務規程」とは何かについて、法律的には特に明記されていません。就業規則の教科書には、「就業規則上定められる労務提供に関する行為規範」と言われていますが、簡単に言えば、働く際のルールということになろうかと思います。

 就業規則に関する規定例には、次のような規定があります。

・酒気を帯びて勤務してはならない。

・他の従業員、取引先、その他会社関係者に対し、暴行、脅迫、名誉毀損その他これに類似する行為を行ってはならない。

・就業時間中又は事業場内において、けんか、賭博その他これに類似する行為をしてはならない。

 一方で、同じように働く際のルールとして一般化しているものとして、行動指針というものを設定されている会社も多いのではないでしょうか。

 たとえばグーグルの行動指針は次のようなものです。

  1. ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。
  2.  1 つのことをとことん極めてうまくやるのが一番。
  3.  遅いより速いほうがいい。
  4.  ウェブでも民主主義は機能する。
  5.  情報を探したくなるのはパソコンの前にいるときだけではない。
  6.  悪事を働かなくてもお金は稼げる。
  7.  世の中にはまだまだ情報があふれている。
  8.  情報のニーズはすべての国境を越える。
  9.  スーツがなくても真剣に仕事はできる。
  10.  「すばらしい」では足りない。

 行動指針は、多くの会社は経営理念やパーパスに結びついています。

これは本来、働く際のルールであるべきです。本来の服務とは、これらの行動指針だと思います。つまり「服務規程」として定めるものは、行動指針の中身であるべきです。それでは、前述した従来の服務規定とされている「~してはいけない。」という規定は、どうするか。これらは「禁止規程」として別の条項にまとめればいいのです。

 服務規程は、行動指針。働き方のルール。

禁止規程は、会社秩序維持のための最低限のルール。

 このような整理をするとより社員にとって判りやすい基準になるのではないでしょうか。

 (学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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