~出会いと感謝の気持ち~

 「出会いと感謝の気持ち」という言葉をスローガンとして掲げ、約20年前、私と現専務の2人で、伊知建興業という建設会社を立ち上げました。その後いちけんファームという農業生産法人を設立、荒廃地を利用した水稲栽培を行い、6次産業化し、米の加工品・おにぎりの加工販売を行うおにぎり屋穂の蔵を開店し、営業しております。

 現在最年少社員18歳から最年長社員80歳の大切な仲間たちと、世の中に必要とされるものづくり企業を目指して多くの取組みをしております。

 スローガンとして掲げたこの出会いとは「ご縁」と「徳」であり、多くのご縁と多くの徳を皆様より頂き、私自身何よりも「人」が大切であると考えております。

 感謝の気持ち、素直な想いは、日々心掛ける確乎不抜 初心の志であります。

 私の自慢は、創業以来1人の離職者も出さず20年目に突入したことでありました。昨年、坂本先生の人財塾へ入塾の際にも、自己紹介で我々の会社を知って頂く一番の特徴としてお話をさせて頂きました。

 今年4月、1人の女性社員より相談を受けました。内容は体調不良による休職の申し出でありました。「好きなだけ休んで、元気になってまた一緒に頑張ろう」と励まし、「会社としては今できる最善を尽くす」と約束し、翌日より休職となりました。

 この女性社員は子供の頃から家族ぐるみでのお付き合いがあり、約33年前、私自身の結婚披露宴で花束をプレゼントしてくれた実娘のような子であります。彼女のお父様も我社の正社員であり、我々の取組みに賛同を頂き、他社を定年退職後仲間として現在も応援して下っており、親子で我社の真の功労者でもあります。

 2ヶ月間の休養後も体調は回復せず、更に2ヶ月間の休養となりました。

 それでも体調は回復しませんでした。本人から「これ以上の休職は会社や仲間に迷惑がかかる」と、強い意志にて退職を希望され、本人の意志を尊重し退職を承諾しました。彼女も同じ志を持ち、理念に賛同してくれた大切な仲間であった為、本当に申し訳なくおもい、初の離職者を出し、仲間を失うことの寂しさを痛感しました。彼女の体調がここまで悪化していたことや、社内での人間関係の悪化に気付けなかったこと、気配りや目配りが不充分であったことなど、私自身も多く反省しました。

 昨年度1年間、坂本先生に教えて頂いた「人を大切にする」という原点に立ち返り、私自身の教科書である「経営者のノート」を何度も読み返し、やさしい空気の中で受けた授業や、感動エピソードで涙したことを思い出し、真剣に考え直しました。

 いつの頃からか、対外的なことに重きを置き、内面や本質を見ることが、疎かになっていたのではないかと気付きました。

「社員とその家族」を最優先に考えることが出来ていたか?
彼女は仕事にやりがいを感じて、笑顔で頑張れていたか?
幸せを感じられる場所であったか?

など自問自答し、昨年度大きく学べたことが実践できていないことを更に反省しました。

 そしてこれよりは、設立当初の初心に戻り、これだけ多くの出会いや、ご縁に感謝し、日々素直に、「世のため、人のため」「世の中に必要なものづくり」を誠心誠意取組み、日本一、人にやさしい会社・人にやさしい地域・風土を大切な仲間とつくってまいります。

人財塾5期生 株式会社伊知建興業 代表取締役 石原伊知郎

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