ある大学での講義

先日、ある大学の経営学部の学生300名に「起業と次世代経営者の育成」とういうテーマで講義をする機会がありました。日本の地域社会が直面している課題や直近の企業経営の動向を踏まえながら後半で、人を大切にする経営の実践が課題を解決しながら地域社会を豊かにするという内容で話を進めさせていただきました。

当然、経営の目的は「関係するすべての人々の幸せの追求にある」とし、次に5人の幸せについてその順番の話をいたしました。そして、順番の理由について質問をいたしました。

「一般的に経営学の世界では、お客様が一番目と思われがちですが、ここでは5人のうち3番目です。なぜ社員とその家族が一番だと思いますが誰か理由がわかる方はいますか?」

ちょっと時間をおいて、講義室の一番後ろに座っていた学生が手を挙げてくれました。そして、「働く人がお客様に接客などするのだから、社員が会社を信頼して働けていないとお客様が満足する接客はできないと思います。だから、社員が一番だと思います」と模範解答のような答えが返ってきました。その学生のおかげでその後の講義もやりやすくなりました。

 講義終了後、幾人もの学生から声をかえていただき、「社員が一番だという考え方は初めて聞きました」「そういう会社で働きたいです」と言ってくれ、「是非インターンをしたい」との申し出をしてくれた学生もいました。

今の学生は義務教育からSDGsや企業の社会的な責任などを学んでいるため本質的に何が正しいのかを理解しているように思えます。逆に私が学びをもらいました。

多くの企業から「人が足りなくて業務に支障がでている」「求人広告に何百万払っても新卒を一人も取れない」との声が寄せられます。若い世代はその会社のあり方を冷静に見ているのだなと改めて感じた出来事でした。

(人を大切にする経営学会 事務局次長 株式会社サクシード 水沼 啓幸)

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