「いい会社には品格がある」

当社は、インボイス制度に社内システムが十分対応できないまま10月に入ってしまいました。10月に発行した請求書の一部は手作業で修正しながら発送を行っていました。月末に請求書の発送が終わった先日の話です。

 当社が送った請求書の記載方法について、大手のお取引先から問い合わせの電話が掛かってきました。「やっぱりきたか」と覚悟をして電話に出ると、“消費税率10%”と記載すべきところに“10%”の表記が抜けているというご指摘でした。

 当然のことながら、私はお詫びをして、請求書を再発行させていただきたいとお願いしました。すると「今回は、大丈夫です。こちらで訂正しておきますね」という経理担当者の対応でした。さらに、「インボイスは当社もシステム変更が間に合っていないので、いろいろと大変ですよね」という同情と励ましのお言葉までいただいてしまいました。

本来なら法律どおりに対応していなかった当社のミスです。クレームともいえる話ですが、取引先担当者の優しい対応に感謝の気持ちがこみあげてきました。その会社の社員数は約700人の東京証券取引所に上場している会社です。担当者個人の対応からも会社の品格を感じました。

その対応の2日後、今度は当社の品格が試されるような事件が発生しました。当社がユニフォームの洗濯をお願いしている会社の担当者が来社されました。ご来社の目的は、洗濯中にポケットに入っていたボールペンのインクが漏れたため何枚かのユニフォームに染みがついてしまったという報告とお詫びでした。当社のユニフォームは特注品なのですぐに同等品を用意する事ができません。担当者はお詫びをする事しかできない状況だったと思います。クリニング業界というのは、洗濯物のボタンの紛失やポケットの忘れものトラブルもあると聞いたことがあります。会社を経営していると、自社のミスではなくてもお客様の意向を尊重して問題を解決しなければならない事もあります。

私は、先日のインボイスで優しい対応をしていただいた会社の事を思い出し、営業担当者に「今回の件は、当社に予備品があるのでそれで対応をします」とお話しをさせていただきました。

同社には長い間ユニホームの洗濯をお願いしている会社しています。これまでも納期などで無理をお願いしてきた事もありました。

皆で一生懸命にやっていても間違いはおこるものです。それが、自社にとって致命的な問題でない場合もあります。経営者のノートに「真の強者は弱者にやさしい」とあります。当社も品格を磨いていかなければならないと感じました。   石川 勝

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