全ての社員にインテグリティを

最近、会社ぐるみで保険金の不正請求をしたり、公の樹木を伐採していたり、100年以上の歴史ある関西のエンターテイメントグループ内で陰湿なイジメがあったなどという報道が続いています。日本社会の劣化が気になるところです。

10月末の投稿で、「コンプライアンスとインテグリティ」というブログを書きました。インテグリティ(Integrity)とは、誠実さ、真摯さ、高潔さ、という倫理的な人の在り方をさします。今こそ、インテグリティの徹底を社員と共に学び直す時ではないかと思うのです。

 前回も引用したP.F.ドラッカーは、「現代の経営」の中で、「経営管理者にとって決定的に重要なものは、教育やスキルではない。それは真摯さ(インテグリティ)である。」(上田惇生訳)と言っています。そして、これは経営管理者だけでなく、会社内で働く全ての人にとっても重要なものだと思います。

 P.F.ドラッカーは、この本の中で、インテグリティの特徴は挙げていないのですが、インテグリティのない人の特徴を挙げています。それは次のような項目です。

  • 人の強みではなく、弱みに焦点を合わせる者
  • 皮肉屋
  • 「何が正しいか」よりも「誰が正しいか」に関心をもつ者
  • 真摯さよりも頭脳を重視する者
  • 有能な部下を恐れる者
  • 自らの仕事に高い基準を求めない者

 この逆を考えれば、インテグリティの特性が分ります。

  • 人の強みにフォーカスし、それを尊重する人
  • 素直な人
  • 「何が正しいか、正しくないか」で判断する人
  • 頭脳明晰より、真摯さを大切にする人
  • 自分の周りに有能な人がいることを大切にする人
  • 自らの仕事に高い基準を求め続ける人

もとより素直さ等はもともとの性格という面もあろうかと思います。しかし、この6つは、いずれも後天的に学習し、身につけることができように思います。仕事だけではなく、日々の生活においても、この価値基準を重視し、これらの特性を高めていくことが重要なのだと思います。

孔子は、「四十にして惑わず」と言っていました。私は、既に六十に近くなろうとしていますが、まだ「不惑」の域にも達せず、ましてや「知天命」、「耳順」などまだまだ到底たどり着けそうもありません。しかし、せめてインテグリティが備わった人をめざして、日々、修行していきたいと思います。

(学会 法務部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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