「ずる」とお天道様
いよいよ年末となりました。年末に気持ちよく1年を終えたいという12月、また新たな不正が報道されました。今度はダイハツです。大手企業の不祥事が相次ぐ日本は本当に心配になります。ダイハツは、責任は現場ではなく、経営陣にあると表明しました。そのとおりだと思います。
「不正」というと、ダン・アリエリー著「ずるー嘘とごまかしの行動経済学」が思い起こされます。人はよくちょっとした「ずる」をしがちだと言われます。ダン・アリエリーは「ずる」に関して、様々な心理学的・社会学的実験をし、その結果をまとめています。
例えば、「ずる」はあまり大きく真実とかけ離れているとしづらいそうです。
つまり「ちょっとしたずる」はしやすい、ということになります。この「ちょっとしたずる」は、特にずる賢い人に限らず、一般的な人でも生じることが実験により明らかにされます。たぶん、「ちょっとしたずる」であれば、「うっかり間違えてしまった」等と言い訳ができるからかもしれません。
しかし、この「ちょっとしたずる」が、放置され、誰の目にもとまるにも関わらず、皆が無関心になっていくような風土が醸成されてしまうと、この「ちょっとしたずる」がどんどん大きくなっていってしまいます。そして、大きな不正をしても平気な空気が広まり、普通の人が不正を実施してしまうのではないでしょうか。
さてこの「ずる」、防止方法は監視することと自ら宣誓させることの2つだと言われています。監視はまさに人の目です。自ら宣誓させることは、自らの良心に問うということでしょう。この2つの要素を見るとき、子どもの頃に年長者(祖父母や親)から言われていたあの言葉を思い出します。
「なにをやっているか、誰も見ていなくても、お天道様が見てるよ!」
お天道様が見ている、という言葉は、子どもにまさに「監視」と「良心への問いかけ」を与える言葉だと思うのです。
お天道様は何も問いません。何も指摘しません。ただ暖かく見守り続けるだけです。それでも人を導くことができるのです。
そう考えると、経営者もまた社員に対するお天道様出なければならないのだとつくづく思うのです。お天道様が社員に暖かい愛情と見守りを降り注ぎ続けることによって、社員を人として導くことができるのだと思います。
今年最後のブログとなりました。皆様、よいお年をお迎えください。
(学会 法務部会 常任理事 弁護士山田勝彦)
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