社員の個性を見極め、社員を活かす

人間は、誰でも得手不得手があります。何もかも完璧な人間は存在しません!一見パーフェクトな人に見える人でも、得手と不得手があります。

 以前の教育では、苦手を克服しよう、不得手をなくそう、と言われてきました。 確かにある程度、訓練や学びによって苦手・不得手を改善していくことはできます。しかし、本人自身が、その改善を心から願い、自ら実施しなければ難しいです。

 本人以外の周りから、いくら苦手・不得手のところを改善しろ!といっても、改善はできないのです。むしろ周りが言えば言うほど、本人にとってみれば、それはハラスメントに他ならず、場合によっては本人が適応障害になってしまうこともあります。

 苦手・不得手を克服するよりも得手を伸ばしていった方が、その人にとっては仕合わせなのです。そして周りにとってもいい効果が生じます。苦手・不得手は、周りがサポートし、また仕組みを作るなどしてフォローしていけばいいのです。

 次の文章は、「障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)」の障がい者に対する「合理的配慮」についての解説です。

「合理的配慮については、・・・障がいのある人とない人の就労機会や待遇を平等に確保し、障がい者が能力を発揮するうえで支障となっている状況を改善したり、調整したりすることです。
 障がいの種類によっては、就業にどのような支障があり、どのような配慮が必要なのかが、見た目だけではわからない場合があります。また、障がいの種類や障がい者手帳の等級が同じ場合であっても、一人ひとりの状態や考え方は違うものですし、職場環境などによって求められる配慮も異なります。そのため、取るべき対応は個別性が高いものとなっています。具体的にどのような措置をとるかについては、障がい者と事業主とでよく話しあった上で決めることが求められます。」

 これは障がい者に対する合理的配慮としての説明ではありますが、私は、傷がいの有無にかかわらず、経営における心構えとして受け止めるべきではないかと思っています。

 人には得手不得手があります。苦手な部分は、就業にどのような支障となるか、どのようなフォローが必要かは、見た目だけでは分からない場合があります。不得手の状況は、一人ひとり違うものですし、職場環境などによって求められる配慮も異なります。そのため、取るべき対応は個別性が高いものとなっています。具体的にどのような措置をとるかについては、それぞれの社員とよく話し合った上で決めることが求められます。

 もちろん、多くの社員がいる会社では全てを社長が把握することはできません。 しかし中間管理職、個別の上司がこのような態度で社員に接すれば、その社員の得意なところを伸ばし、苦手な部分による弊害をフォローによって取り除くことができると思うのです。

 (学会 法務部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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