就業規則の改正は済んでいますか?(育児・介護休業法改正)

ご承知のように育児・介護休業法の改正が続いております。直近の改正は、本年(2025年)4月及び10月から施行されます。本稿では4月からの改正について、特に就業規則の改定が必要となる部分についてお知らせいたします。

 子の看護休暇が見直されました。これまで子は小学校就学するまでに限定されていましたが、小学校低学年、具体的には小学校3年生終了までとなりました。また、取得理由として、感染症にともなう学級閉鎖、入園、入学式、卒園式が対象となりました。特に感染症で学級閉鎖になるような場合、子どもが1人で自宅に居られる年齢等を勘案し、4年生までとされました。

 そのため小学校の卒業式は法律では含まれていません。人を大切にする経営を実践している会社では、入・卒業式については子の年齢に関係なく、休暇を認めている会社が多くあります。やっと法律が少しだけ追いついてきたというところでしょうか。

 また残業免除の対象が、3歳未満の子の親を対象としていましたが、これが小学校に入るまでと対象範囲が広がりました。もっとも、人を大切にする経営学会では、残業自体を月10時間以内とすることをよしとしています。

 この点で、今回改正はされていませんが、法律では3歳未満の子の親に時短制度を認めています。この子の年齢制限については改正がありませんでした。しかし人を大切にする経営を実践されている会社では、3歳未満に限定せず、社員の家庭環境や保育環境に対応して、柔軟に時短制度を導入している会社が沢山あります。

 また介護休業に関しては、介護をきっかけとした離職を防止する意図も含めて、情報の周知徹底を求めるべく改正されました。具体的には、介護に直面する前の社員が40歳の前後1年の間に、介護制度等に関する情報を提供すること、また実際に介護に直面したとの申出があった場合には、会社は個別に介護制度等を周知し、その制度利用の意向確認をすることが必要となりました。

 この介護制度の周知徹底も、当然のことであり、法律で定めなければ会社が実施しないというような世の中では、まだまだだと思います。

 人を大切にする経営の周知こそ、学会に求められている活動だとつくづく思いました。

 (学会 法務部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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