中小企業経営者として思う賃上げ
中小企業の人手不足は深刻だ。
当社では、今のところ退職者もなく人手不足という問題には直面していない。
しかし、今後の定年退職による補充も必要なので、
いずれ社員の補充が必要となる現実もある。
人手不足の背景には労働人口の不足があるので、
将来的には採用はさらに難しくなってくるはずだ。
今年の春闘では、物価高を背景に多くの企業で15,000円(5%)程度の
賃上げを予定しているという報道がニュースで流される。
大企業と中小企業の給料の差は、
そもそも一人当たりの生産性の違いによる問題はあるが、
大企業が5%の賃上げをすれば、
中小企業と言えどもこの圧力や余波を受ける事になるはずだ。
同業の経営者に4月の賃上げについて聞いてみたところ、
せいぜい賃上げは5,000円だという答えが返ってきた。
大手企業並みに賃上げをしたら経営が成り立たないというのである。
しかし、私は、社員に向かって、
「当社は大手企業並みに15,000円を賃上げしたら経営が成り立ちません。
勘弁してください」とでも言う自信はない。
社員の冷やか目を僧都したくない。
「今年は15,000円の賃上げはできませんが、
3年かけて5,000円ずつ3回の昇給を約束します」
とでも言えばまだ納得してもらえるかもしれません。
大手企業との賃金格差は広がる一方である。
スーパーに行って買い物をすると、
今までは10,000円でお釣りがくると思っていたら、
お金が足りないという事態に直面した。
野菜、コメ、食料品全体がとんでもない金額になってきたと感じる。
同じ給与を払っていて買いたいものが買えないという現実がある。
これは、経営者の私の責任ではないとうのが本音ですが、
社員の日常生活が圧迫されているのは事実だ。
もっと言ってしまえば、実質的に減給と同じ事が起きているのだ。
経営の目的は、会社にかかわるすべての人々の永遠の幸せの追求・実現である。
会社の仕入材料費、燃料費、外注費も平均10%位は値上がりをしている。
それらの値上げについては交渉の余地はなく、仕方なく値上げを受け入れきた。
坂本先生から、人件費をコストとして見てはいけないと教えられたが、
材料費、燃料費、外注費の値上げを受け入れたのに、
賃上げについて余計な事を考え、結論が出せない自分がいた。
物価高の上昇と連動して賃金を改定するのは当たり前の論理のはずだ。
「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞の審査基準に、
「給与は業界の平均以上かどうか」という設問がある。
しかし、中小企業全体で人材不足が続いている今、
給料が業界平均以上であっても採用できない事実があるとすれば、
給料は業界トップ、或いは、それ以上の給与を目指すべきではないか。
当社では4月の昇給は、ベースアップ込で16,700円(約5%)と
させていただく事を既に発表した。
これで社員はこれまでどおり、元気で楽しく働く環境を守れるだろうか。
その後の結果はまたの機会に報告させていただく事にする。
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