見える化の大切さ
数字にして見える化することは、経営にとっては必要不可欠なものだと思います。財務諸表、事業計画、スケジュール管理まで、全ての分野に見える化の取組みがなされていることと思います。
個人についても減量ためのレコーディングなども見える化の一方法といえます。
4月23日のNHKの電子ニュースで、「名古屋大病院ヒヤリハット報告で医療事故3分の1以下に」との記事が出されました。
名古屋大学研究成果発信サイトに、2023年3月28日付けにて、「病院の安全性を図る物差しの開発~医療事故防止に関するインシデント報告の新しい価値~」という発表記事がありました。
医療法第6条の10において、病因等は誤った医療行為に繋がりかねない出来事が発生した場合は、インシデントレポートを病院内のしかるべき部署に提出をすることを義務づけています。
医療においては、ミスはまさに患者さんの命取りに繋がるので、ヒヤリハットもしっかりと報告する義務を定めています。
もっとも、報告がなされた後は、それをどのように活用するか等については、特に定めはなく、ある意味提出をすることだけが重要とされてきました。
名古屋大では、この膨大なインシデントレポートのテキストデータを機械学習の技術を用いて分析し、ある医療者集団が、医療行為そのものや、不十分な確認行動などによって患者に生じさせた疾病の重要度を数値化し、見える化するシステムを新たに構築したそうです。私の理解できる範囲でいうと、本来実施すべき医療行為のデータを読み込み、インシデントレポートの文章を分節化して照合し、スコアを出すという仕組みだそうです。
今回のNHKの報道は、この取組みにより、医療事故が3分の1に減少したとの記事でした。
人間はミスを犯します。過ちなく生きられる人はいません。しかしどこで誤るのか、何が原因かが見える化されれば、対処方法を事前に検討し、準備することが出来ます。
医療機関ではない一般的な企業でも必ずミスは日常的に起こっているはずです。優れた会社では、ミスやヒヤリハットの報告をしやすくしているところもあると思います。
名古屋大学の取組みのようなシステムを作るまでの必要はなくとも、ヒヤリハットの分析をするだけでもミスは減るのではないかと思うのです。
社員がミスをしないように取り組むことも、社員を大切にすることになると思います。
(学会 法務部会 常任理事 弁護士山田勝彦)
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