「協和」さん

目的と手段と間違えてはいけない。

強い AND 優しい ではない。
強い FOR 優しい だ。

目的は優しいために手段は強くなる。
特に、立派なことをやるためにはお金がないと何もできない。
強い会社は、安定して利益を出せる会社。

行きたかった会社だった。
法政大学大学院 坂本 光司 教授の門を叩き3年半、ようやく伺うことができた。

壮絶な人生を送ってきた、創業者は96歳の父、実質、トップの若松 秀夫専務の話をお聴きした。
会社名は、師匠の法政大学大学院 坂本 光司教授が「日本でいちばん大切にしたい会社」4で紹介した千葉県の野田市に工場を持ち、本社は東京都千代田区東神田にある「協和」さん。
経営理念は800字を超す。

経営理念
【1】 会社は、協和で働くすべての従業員のためにあり、その人たちの幸福度を高めることが第一の目的である。
安心、且つ継続的に仕事に従事できる職場環境を整え、人間としての成長を応援し、その能力を最大限に発揮できるように努める。
「協調和敬」の精神のもと、全ての従業員がこころをひとつにして協力し合い、お互いが支えられていることに、常に感謝の気持ちを持つ。
従業員の知恵と努力で創出した製品と、その営業活動の結果得られる適正な利益のみを利益と考え、これ以外の利益を追い求めない。

【2】 消費者に対して、安心、安全、快適に使用できる”元気の出る”かばんを生産、販売する。
消費者の声に耳を傾け、消費者の立場に立ったモノづくりを行い、安定した価格で提供し、適正な利潤を頂く。
常に品質の向上に努め、優れた機能と斬新なデザインの製品を提供することによってのみ、会社の継続的な発展が可能であると考える。
協和の目指す品質、サービスとは、消費者の期待を常に上回るものでなければならない。日本人としての誇りを忘れず、日本のものづくりの精神と感性を全世界に向けて発信する。

【3】 仕入れ先に対しては、協和の事業を支えて頂く協力者として常に感謝の気持ちを忘れず、公正、且つ対等な条件でお取り引きさせて頂く。
仕入先の繁栄は、最終的に協和の利益につながることを忘れず、適正な利潤を獲得して頂けるように配慮しなければいけない。

【4】 社会に対しては、会社は社会に支えられていると理解し、全社員は社会の健全な発展に寄与すべく、高い倫理観と道徳心を持たねばならない。
協和は、会社として社会事業及び、福祉事業に積極的に取り組む。特に、人類の未来を担う子供たちのために、彼らの生活環境や教育改善に寄与すべく活動する。
会社の使用する施設、生産材料、資材などは環境と資源の保護に寄与するものでなくてはならない。
特に資源消費の徹底した節減は、地球のために役立つばかりでなくコストの削減にも繋がり、最終的には社員全員の利益になるものである。
よってこのことに対しては最大限の努力を払わねばならない。

HPには続いて下記がある。明確だ。
第3回 次世代育成支援行動計画
目的自己のキャリアアップを図りながら働けるよう、仕事と子育てを両立できる職場環境を整備することにより、全ての社員がその能力を十分に発揮できる職場を提供することを目的とし、次の行動計画を策定する
1.計画期間平成27年4月1日~平成32年3月31日2.内容平成27年4月現在、育児休業取得者は100%職場復帰をしております。
また、現在1名が今年復帰し1名が育児休業中であり、来年の職場復帰を目指している状況から、女性への支援は定着してきていると思います。
今回の行動計画では、男性社員への啓蒙、地域の子供たちへの支援に積極的に取り組んでまいります。
以下、略。

経営理念は、専務が一晩で創った。
創業者の思い・想いと社員、全員でやってきたことを表現した。

意外かもしれないが、他のランドセルを作っている会社は専業。
ランドセルは子どもの数が減っているので安定しない。
ランドセルの売上の割合は60%。
スーツケースは25%。

グッドデザイン賞は17度受賞している。
ランドセルはクラリーノなので軽い。
障がい者用のランドセルは年間200~300、障がい者一人一人に合わせて創るので赤字だが職人魂が騒ぐ。
障がい者の子ども、親にとっても憧れのランドセルだ。

全員、正社員。65歳以上が社員の35%を占める。
先日、「人を大切にする経営学会」の全国大会で講演をした、静岡県磐田市の「コーケン工業」さんを代表に、福島市の「クラロン」さん、東京都新宿区の「日本レーザー」さんと同様に一人一人の勤務時間等が異なる。

3.11で亡くなったお母さんから、小学校3年生の女の子の悲しみは、肉筆のお母さんからの手紙、一生の宝物になった。
絵本にもなった。

前夜、「日本でいちばん大切にしたい会社」4のコピーと教授の別の紹介資料、私より若いがゼミの先輩の「カメさん日記」、同社のHPの主要部分のコピーを用意した。
内容は分かっていたが、名古屋から東京への新幹線の中で、お母さんの手紙を読み返すと涙になった。

社会貢献活動も続けきっている。HPを見て欲しい。

若松専務、息子さんが2人いるが、後を継がない。
3~4年前から、12名の幹部社員に社長とは、協和の社長とはを主に共育を行っている。
後継者は経営理念を守っていける社員。自分も指名するが社員も指名する者だ。

10名ほどのゼミ生だけで伺った。坂本教授が同行するのと同じ普通の応対をしていただいた。
現場に足を運ぶ大切さも認識した。

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