「日本でいちばん」のランドセルメーカー「協和」④ 仕入先と社会に「優しい会社」

株式会社協和 若松秀夫専務講話④(2017年9月22日)
 坂本光司教授『日本でいちばん大切にしたい会社』シリーズ4に掲載のランドセルメーカー、株式会社協和(東京都千代田区)の若松秀夫専務の講話の詳報の4回目。3回目に続き、経営の目的である「優しい会社」について。今回は社会に対する実践について取り上げる。(メモ・研究生/中小企業診断士 神原哲也)
・優しい会社の実践
【対「仕入先」】
 仕入先がなければ生きていけません。仕入先に目が行く学者は坂本先生しかいないと思っています。そこで対等な関係を築いています。
 まず、仕入れは現金決済です。
 協和は年間20万個のランドセルを製造していますが、クラリーノしか使いません。これは軽くて丈夫だから。50年、クラリーノばかりです。
 デパートは牛革のランドセルなら値段が高くできますよ、と言いますが、牛革は子供にとってなんの価値があるのでしょうか。
 協和グループ合同の新年会というのがあります。これは、協和がお金を払う先にだけきてもらっています。お取引先さま新春懇談会なのです。当社が感謝する会なのです。
【対「社会」】(事例が多いので一部をカットしています)
 社会貢献というと難しそうな感じがしますが、自社でできることをすればいいのです。注意点は3つあります。
 まずは貢献できるものを探し出す
 身の丈に合ったことを行う。今年はもうかったからやる、というのでは税金対策に思われますのでマイナスです。
 最後に継続する
 若い人は、社会に対する考え方が団塊の世代と全く違います。団塊の世代の人は自分が食っていくためのハングリーさがないと言いますが、今の若い人は余裕があるため他人のことを考えるのです。(若い人は「社会貢献」を手間がかかっても無駄だとは考えない、反対しないどころか共感する、ということを言っているようだ)
工場祭 
 毎年10月に工場祭を開きます。野田市(旧関宿町)ほとんどの人が来ます。取引先を含めて工場出し値でカバンなどを販売します。渋滞ができるので、柏警察からお叱りが来るほどです。地域パトロールもやっています。
・教育実習支援 高校生のインターンを受け入れています。卒業後、数人が協和に来てくれるのですが、全員が定着してくれています。
障がい児用ランドセル 毎年200-300個を生産しています。障がい者にとって良いことは健常者にとっても良いことです。このランドセルが一般品のレベルアップにもつながっています。
 障がい児用ランドセルについては、1人ずつカルテを作って、本人に合うものを作ります。
 今は透析用のポートをつけているお子さんが背負えるようなランドセルを来年4月までになんとか作ろうと頑張っているところです。
 ●●君の役になった、と言われるような取り組みは作り手にとっても励みになるものです。
未来へつなぐタイムレター
 お子様に対する親のレター、ランドセルを買われた3年後にお子様に郵送します。親子のコミュニケーションになれば、と始めました。東日本大震災であった以下の出来事は新聞などで大きく取り上げられました。
 宮城県亘理町の小野由美子さんは、夫と3人の子どもを残し、東日本大震災の津波で、犠牲になりました。悲しみに暮れていた小野家にその年の夏、亡くなったはずの由美子さんから、子ども宛の手紙が届きました・・・。(2日アップの⑤に続く)
 未来へつなぐタイムレター 天国のお母さんから
車椅子にかけることができる障がい者用ランドセルと若松専務

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