徳武産業さんの有効供給と市場創造

先日ある人気TV番組に、「あゆみの靴」という高齢者が転倒しにくい介護シューズ開発に成功して、リーディングカンパニーになった四国の徳武産業さんの十河社長が出演され開発秘話を話されていた。

徳武産業さんのストリーがピタリピタリと当てはまっていると私が感じたのが、坂本光司先生の「人を大切にする経営学講義」、第4章「有効需要ではなく有効供給とは」である。以下、抜粋して紹介する。

好・不況を問わず、長期的にわたり好業績を持続している企業の共通点の1つが「価値ある新商品」、つまり顧客が喉から手が出るほど欲しい、新しい感動価値をタイムリーに創造・提案しているの点である。

期待しなけばならないのは、小さな新商品の連続的開発による市場創造である。この分野は、まさに中小企業が本来得意とする分野である。ここにこそ、「これからの日本経済の盛衰は、中小企業にかかっている」と筆者が考える、ゆえんがある。

しからば中小企業、また中小企業を支援する産業支援機構は、中小企業の技術革新を連発させるにはどうしたらよいか。結論は、「中小企業よ、もっとエンドユーザーと直結せよ」「産業支援機構よ、中小企業とエンドユーザーをもっと意識して接触させよ」である。

エンドユーザーと直結することにより、中小企業がビジネスチャンスの豊富さに目覚め、自らが主体的に新しい商品開発にチャレンジするようになるに違いない。

企業を取り巻く経営環境は、ゆっくり着実に、まるで円を描くように変化し、形成される。その予兆は現場や統計の中に、必ず見え隠れしているのである。

アンテナを高くし、聞く耳を持ち、問題意識を常に持って、生きている現場の事象に接触しない限り、構造的変化は到底見えない。

企業を決定づける社会・国民的生活ニーズにも、時代とともに目に見えて変わってしまうものがある一方、本質は何ら変わらないものがある。

例えば健康でありたい、豊かで安定した生活を送りたい、社会に貢献したい、自己実現したい、あるいは他人の自己実現を協力したいといった欲求は、いつの時代も変わることのない人間の本質・本能である。

この二つの視点につねに立脚し、変化をクールに観察していれば、今日の環境変化が一時的・一過性のものなのか、それとも構造的変化の前触れ的現象なのかは、自ずと理解できる。そのうえで、いま求められている市場を創造していくのである。

以下は、私、本田の感想です。ゼミ合宿で徳武産業さんに伺い、全国から寄せられる感謝の手紙にふれて、感動でゼミ生は涙しました。徳武産業さんの社員さんは、それらに毎日触れているのですから、おそらく自己肯定感が大変高いでしょう。世に喜んでもらえる商品開発の返礼は、幸福感という無形財産が付いてくるのですね!挑戦のしがいがあるというものです!

(人を大切にする経営学会 本田佳世子)

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