真実は藪の中

日曜日担当の高澤です。

先週は帰国してからすぐ,研究室の追い出しコンパがあったので参加してきました。

僕は副ゼミ長ということで(内山さんの存在が大きすぎて自分でもすっかり忘れていました),閉会の挨拶を任されることになりました。

僕よりも人生経験の豊富な方々が多い中で,何も偉そうな話もできませんが次のような話をしました。

芥川龍之介が残した小説で,「藪の中」という短編があります。

まだ読んだことのない方もいらっしゃると思いますのであらすじは控えますが,この話では一つの事実に対していろんな人の見解が表されています。

僕は中学生くらいにこの本を読み,「世の中で事実は一つしかないけれども,真実はそれを解釈する人の数だけ存在する」と思うようになりました。

だからこそ人は,自分の目で見たことを大切にし,他人の意見を尊重しなければならないのだとも思います。
誰かの真実や正しさは,他の誰かにとっても同じであるとは限らないからです。

それは今回の震災における情報にも同じことが言えます。
誰かの発した情報を鵜呑みにせず,あくまで自分の目で見たことや自分の頭で考えたことを大切にして,それを自分の価値観として保持していくことはとても大変なことでしょう。

机上の理論だけでなく,実際の企業を自分の目で見ることを大切にする坂本研究室のメンバーだからこそ,それを忘れてはいけないですよね。

…僕なんかがそんな偉そうなことを言える人間ではありませんが,自戒の念を込めてお話ししました。
なかなか難しいかもしれませんが,僕もがんばってみます。

自宅の近所にある駐車場の片隅で,ひっそり梅が咲いていました。
それは震災があろうがなかろうが,変わらずそこに存在しているようでした。

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