100年に1度の危機に備える
「100年に1度の危機」は10年に1度くらいの頻度で襲ってくる、ということに、最近やっと気づいた。
おそらく世の中には10種類くらいの「100年に1度の○○危機」があるのだろう。100年に1度の金融危機、100年に1度の大地震、100年に1度の大規模な戦争、100年に1度の干ばつ、100年に1度の風水害、100年に1度のテロ事件、などなど。「100年に1度」程度の危機的状況は、人生100年なら10回くらいは経験するのである。
しかもちょうどよく10年ごとには来ないので、大地震の2年後に金融危機が来ることもある。平穏な15年が続くこともある。そして、同じ危機は二度と来ないから、10種類の「100年に1度」に完璧に準備ができると思うのは幻想である。一方で100年前の経験と10年前の経験を重ねて80%の備えをつくることはできる。なぜなら、まったくみたことも聞いたこともない新しい危機がくることはないから。それは、いつでも、「これまでに経験したもの」と「なにか新しいもの」の組み合わせだ。
「これまでに経験したもの」に対応するのは訓練であり、個人的な規律だ。考え惑うことなく迅速に正確にやるべきことをやる行動する力だ。「体」で覚えるものだ。「なにか新しいもの」に対応するのは、人間の創造性である。「困った困った困った困った困った・・・ひらめいた!・・・やっぱりだめか・・・だったらこうしてみよう・・・」という頭のなかをぐるぐるする力、そして試しにやってみる力だ。
幸か不幸か、上の二つの素質を備える人間はまれで、大概はそのどちらもほどほどであって、たまに、どちらか極端に優れてもう一方はてんでだめ、という「個性的」人間がいるというのが世の中である。
こう考えてみると、家庭でも企業でも国家でも、そこに生きる人々が、危機にあってお互いの長所を生かして協力することできるかどうかが、10年に1度来る「100年に1度」を10回生き延びられるかどうかを決めると言っていいのではないだろうか。
人財塾1期生 野村国康
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