人を大切にする経営学会の役割~経営にフィロソフィーを~
CPOという役員ポストが海外の企業では存在するそうです。「チーフ・フィロソフィー・オフィサー」、企業内の専属哲学者とでもいうのでしょうか。
アメリカのGoogleやAppleには、「イン・ハウス・フィロソフィー」、つまり「企業内哲学者」が専従として雇用されているそうです。なぜ、企業に哲学者が必要なのか?
そもそも、これまで経済は多くの社会的な課題・問題が存在しており、それを解決することによって活性化してきました。電気、列車、家電等々、日常生活の中の課題・問題を物によって解決するというのが高度経済成長期の経済活動でした。この時には、世の中に沢山の課題・問題がありました。企業は、その「応え」を出すだけで良かったのです。
ところが、現代はどうでしょうか。目に見える課題・問題の多くは、先代の叡智によって解決してきました。今は、「課題・問題」自体を見つける必要があります。つまり、これまでは「答え」を見つけていれば良かったのですが、これからは「課題・問題」を自ら見つけた上で、その「答え」を出すということが必要となってきました。
そこに「哲学」が出てきます。哲学とは、世の中、人の世の様々な事象に「問い」を投げかけることで学問を深化させてきました。哲学の基本は、「問い」です。そう企業活動において、「課題・問題」の発見にとって一番有用なのがまさに哲学的「問い」というわけです。
これまでの経営学は、経営の「答え」を教えてきました。いわばHow Toです。しかし、「課題・問題」を発見する「問い」については教えてこなかったと思います。
人を大切にする経営学会は、経営について、まさに「問い」を投げかけています。人を大切にするとはどういうことか?人の幸せとはどういうことか?企業は公器として何ができるのか?これを問い続けているのが人を大切にする経営です。
人を大切にする経営学会は、まさに哲学を企業経営に取り込むという最前線の活動をしています。
(学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)
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