「ビジネスと人権」に関する行動計画
2020年8月6日、ビジネスと人権とのテーマでブログを書きました。その後、2020年10月16日、政府は、「ビジネスと人権」に関する行動計画(2020-2025)を発表しました。しかし、コロナ禍ということもあるかもしれませんが、折角発表した行動計画がほとんど世間に知られていません。法曹業界でも話題になりませんし、経営者の方々にも知られていないようです。
この行動計画は、2011年に国連で採択された「ビジネスと人権に関する指導原則:国際連合「保護、尊重及び救済」枠組実施のために」(一般に「指導原則」と言われます)を基に、日本での行動計画を策定したものです。
日本政府が計画する3つの柱とは、①人権を保護する国家の義務に関する取組、②人権を尊重する企業の責任を促すための政府による取組、③救済へのアクセスに関する取組、です。
経営に直接関わるのは、②企業の責任を促すための政府による取組の部分であり、政府は、企業、とりわけ中小企業に対して、次の3つの企業方針をもつよう期待表明をしています。
1 人権方針の策定
企業は、人権を尊重する責任を果たすというコミットメントを企業方針として発信すること
2 人権デユー・ディリジェンスの実施
企業は、人権への影響を特定し、予防し、軽減し、そしてどのように 対処するかについて説明するために、人権への悪影響の評価、調査結果への対処、対応の追跡調査、対処方法に関する情報発信を実施すること
3 救済メカニズムの構築
人権への悪影響を引き起こしたり、又は助長を確認した場合、企業は正当な手続を通じた救済を提供する、又はそれに協力すること
これだけでは、抽象的過ぎて、正直何をすればいいか分かりません。11月19日の日経新聞の記事では、「日本は他国と比べて取り組みに積極的ではない」とコメントするレベルであり、今後どのように定着していくのかが課題です。
(学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)
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