「人への投資」
人を大切にする経営学会では、人材のことを「人財」と呼んでいます。まず社員とその家族を大切にすることから人を大切にする経営が始まります。この考え方にやっと日本政府も気が付き始めました。
岸田内閣の「新しい資本主義」の3つの柱の内の一つ、分配戦略の中で、「人への投資」の強化を掲げています。内閣府のホームページには次のように書かれています。
「資本主義は多くの資本で成り立っていますが、モノからコトへと進む時代、付加価値の源泉は、創意工夫や新しいアイデアを生み出す「人的資本」、「人」です。」
政府は、人財が、付加価値を創出できるように3年間で4,000億円をかけて、人財育成の助成金事業等を開始しました。
6月28日のNHKニュースでは、政府が企業に対して、「人への投資」について開示を求めるべく、7月中にそのための指針をとりまとめるそうです。
例えば、スキル向上の研修内容、研修にかけた時間や費用、従業員の仕事や会社に対する満足度、男女間の給与格差、離職率などだそうです。また一部の項目については、上場企業に対して有価証券報告書に記載することを義務つける方針も出すそうです。
「日本でいちばん大切にしたい会社」がわかる100の指標では、以前より人への投資に関連して次のような指標が出されています。
*過去5年間平均の、正社員の転職的離職率は3%以下である
*定期的に労働条件や就業環境当に関する社員満足度調査を外部に依頼し、その満足度は常に70%以上である。
*社員一人当たりの人財育成経費は年間10万円以上、または総実労働時間に占める研修時間は5%以上である。
*社員一人一人のキャリアパスプランが確立し、それに基づく教育訓練が行われている
*社員の資格取得奨励制度や自己啓発支援制度がある。
「日本でいちばん大切にしたい会社」の指標達成が、どんな会社でも企業経営の当然の前提となる時代に進んでいくことを強く願うところです。
(学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)
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