日本では通じない整理解雇

某SNSサイトで、経営者が交代した途端、5000人規模の人員削減が行われたとのことです。現在もなお手違いにより解雇すべきでない人を解雇したりと混乱が続いています。

 日本支社でも同様に解雇をされている、またはされるのではないか等と情報が錯綜しています。

 欧米は、ジョブ型雇用であり、職種を限定して雇用しているため、その職種の人員が不要となったり、能力不足となったりした場合、容易に解雇をされてしまいます。

 しかし日本では、そのように解雇することはできません。これは外資系企業の日本支社でも同様です。

 俗に整理解雇の4要件といわれています。

① 人員削減の必要性

  この点は、経営状況によるものであって安易に裁判所が判断できるもの ではないので、むしろ明らかに経営危機に瀕していないにもかかわらず、解雇したような場合の理由として使われるものです。

 ② 解雇回避努力

   一方で、解雇回避努力は、具体的に細かく判断されます。残業の削減、新規採用の手控え、余剰人員の配置転換、出向、転籍、非正規雇用労働者の雇い止め、一時休業、希望退職者の募集、役員の報酬削減など、様々な施策をとったにもかかわらず、やむを得ず解雇する場合出なければ認められません。場合によっては、転職先の紹介等もすべきことになります。

 ③ 人選の合理性

   合理的な人選基準を定め、その基準を公正に適用して被解雇者を決定することが必要となります。偏った基準は認められません。

 ④ 手続の妥当性

   会社が労働組合や労働者に対して、人員整理の必要性、解雇回避の方法、整理解雇の時期、規模、人選方法などについて説明を行い、できるだけ納得してもらう努力をすることが必要です。

このように整理解雇については、企業努力をしたにもかかわらず、やむを得ず解雇をせざるを得なかったということを会社が証明できなければ、解雇は解雇権乱用として裁判等では認められないことになります。

マスコミで報道されている今回の某SNSの会社のやり方では、到底、日本で労働者が争えば解雇は権利乱用として無効と判断されることになります。

(学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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