「不機嫌な職場」がもたらすもの
今週は、園児を虐待したとして3人の保育士が逮捕され、口封じをしたとしてその園長が市から告発を受けました。またバス閉込めによる園児死亡事故に関して、4人の保育園関係者が書類送検されました。
子どもと共にいる保育士がなぜ?と思うとともに、以前から介護士による虐待事例も多くあったりしますが、介護士さんも保育士さんも、多くの人は、志を持って、誠実に仕事をしているのに残念なことだと思います。介護士さんも保育士さんも「感情労働」に従事している仕事と言えます。
感情労働とは、自分の感情を「抑える」ことで賃金を得る労働といわれています。本来の感情を押し殺して業務を遂行するため、ストレスが溜まりやすいといわれています。
そのような人たちが集まる職場だからこそ、職場の雰囲気はとても大切だと思います。よく負の感情の連鎖などと言われますが、負の感情を持っている人がいると、知らぬ間に身近な正の感情を持った人まで負の感情に陥ってしまうということがあることは皆さんも日頃から感じているところではないでしょうか。
それと同じように、社会や職場にも感情というものがあるように思います。
たとえば、新型コロナウイルス禍の日本社会は、コロナ自警団、自粛警察のような風潮が広がり、社会全体が負の感情の連鎖に入って言ってしまいました。
職場にも感情というようなものがあるように思うのです。職場の雰囲気、空気といわれているようなものでしょうか。その空気が自然とそこに集う人々の心の中に負の感情を醸成していってしまう、ということがあるように思います。まさに「不機嫌な職場」です。
そして特に感情労働を提供している職場では、この職場の雰囲気、空気が大きな影響を与えることになってしまうと思うのです。
先の保育士さんの子どもへの虐待も園長が交代してから始まったと一部の報道では言われています。
「不機嫌な職場」が不機嫌な社員を生み、育て、あってはならないことが発生してしまうのです。
何のために仕事をしているのか、誰のために仕事なのか、この組織は何のため、誰のためにあるのか、ということをいつも問い続けながら職場の雰囲気を作っていく必要があるのだと思います。
(学会 法務研究部会 常任理事 弁護士 山田勝彦)
被害者が小さな子どもなので、胸が痛い。
保育士の待遇改善をしないと、志があってもつづけられないケースがあるのでは?
「不機嫌な職場」は、残念ながら多いです。