雇用の質を考える
人財塾3期・4期の合同会社Coaching4Uの渡邊佑です。
ここのところ、当社で来年よりスタートすることを念頭に動いている新規事業立ち上げのため、障がいや難病といった働きづらさを抱えている当事者の皆様や、障がい者雇用に関連する事業者の皆様と議論やヒアリングをさせていただく機会を沢山頂戴しております。
それにより、これまでの視点には一切なかったような発見や、意欲ある事業者の皆様が本当に思いを持って事業を進めておられることが理解できました。
他方、これまで全く意識してこれなかったような障がい者雇用の現実を知ることにもなりました。(私が不勉強なだけかもしれませんが、、、)
例えば、あるテレビ局に障がい者枠で雇用されているAさんに「今どんなお仕事をしているのですか?」と尋ねると、「与えられた番組リストの中から、月のノルマで●本視聴した上で感想を書いて送ります。見るタイミングはいつでもいいことになっています。」とおっしゃっていました。
その瞬間の私は「そんな仕事もあるんだなぁ」と思う程度だったのですが、続けて「感想を送った後はどうなるんですか?」と聞くと、「特になんのフィードバックもありません。一方通行の仕事で、正直あまりやり甲斐は有りません。出来ればもっと色んな人の役に立って喜んで欲しいですが、なかなか仕事を見つけるのも難しい中でお金をいただけるだけで感謝しなければいけないなと思っています。」と答えられました。
私は、当時なぜこのような仕事が存在するのかがわかっていませんでしたが、少し考えて理解しました。その企業が「障がい者雇用率」達成のために作った仕事だったのです。
また、別の方(Bさん)からは、「かかってこない電話を渡されて、電話番として雇用されている」ケースについても教えていただきました。
2022年現在、障がい者の法定雇用率は2.3%、達成率は48%程度となっており、半数以上の企業が達成すら出来ていない状態です。このような現状からすれば、形だけだったとしても障がい者雇用に取り組んでいるだけでもまだ良い方と言えるのかもしれません。
ですが、雇用さえすれば、「雇用の質」はどちらでもいいのでしょうか?少なくとも私がお話を伺った方々に限っては、人の役に立ちたい、という真っ当な気持ちを持った前向きな方々でした。そのような方々が、雇用率という目標数値達成の為に、その意欲を十分に活かしきれない現状があることに強い課題感を感じています。
辞書を調べると「雇用」とは「労働に従事させるため、賃金をはらって人を雇うこと」であり、「労働」とは「体を使って働くこと。特に、賃金(ちんぎん)・報酬を得るために、体力や知力を使って働くこと」だそうです。
果たして、上記の仕事がどこまでその方の体力や、知力を使うことに繋がっているのでしょうか。
また、私は、働くことの本質的な価値の一つは、顧客や周囲の関係者に喜んでいただける事、感謝される事を通じて、遣り甲斐や生き甲斐を感じる事ができることだと思っています。
障がい者雇用に限った話ではありませんが、「雇用」をゴールにするのではなく「雇用の質」を考えることが、人本経営においてとても大事だと実感しました。
人財塾3期・4期生 合同会社Coaching4U 渡邊佑
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