会長の役割
ご承知のとおり、経営関係を規律する会社法では、会長、社長、CEO等の名称は存在しません。会社法上では、代表取締役か取締役かの違いがあるのみです。
会長職につかれる方の場合、主に代表取締役会長、取締役会長、会社法上の権限のない会長(相談役会長等)の3つに分れると思います。
代表取締役会長であれば、対外的にも会社を代表する一人となり、社長と共に会社を支える立場となります。取締役会長の場合は、対外的には会社を代表しませんので、社内的に社長を補佐しつつ、内部運営に関わる場合が多いかと思います。権限のない会長の場合は、あくまで社長の補佐という立場にとどまることが多いと思います。
いずれの場合でも、多くの会長は、社長経験者であり、これまで荒波を乗り切ってきた強者であるとともに、世の中を多様な視点から見てこられた方だと思います。
このような方には、是非、会長として「ご隠居さん」になってほしいと思います。ご隠居さんにも2つのタイプがあると言われており、博識で人生経験が豊かで、訪ねてきた人に様々なアドバイスをしてくれるいいご隠居さん、知識も経験もなく適当なことを話す「千早振る」や「茶の湯」の落語に出てくるようなめちゃくちゃなご隠居さんです。もちろん、目指すは「いいご隠居さん」です。
世の中は、複雑になり、ついつい現場は目先のことに集中してしまいバランスを欠きがちになります。そんなときに相談にのってくれるご隠居さんが今の時代には必要だとつくづく思います。
経営でいえば、未来顧客と地域社会、弱者に深い関心をもち、内外の関わる人たちに沢山の示唆を与え、経営者や会社を導くご隠居さんです。それが会長の役割ではないかと思うのです。
人を大切にする経営をされてきた経営者の方々は、このような役割を担う会長職になられている方が多いと思っています。
自分もそんな存在になれるよう日々学びながら、精進を重ねていきたいです。
(学会 法務部会 常任理事 弁護士山田勝彦)
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