最近の賃上げ環境で感じたこと
経営人財塾6期生、株式会社アタックス・ヒューマン・コンサルティングの永田健二です。私は日ごろ、様々な中堅中小企業にお邪魔して、人事制度を設計する伴走支援をしています。人を大切にする経営こそ、より良い人事制度作りに欠かせないと思い、昨年一年間勉強させて頂きました。多くのことを学びましたが、いきいきと働ける職場があることがそもそも幸せであるということが強く心に残っております。
一方、物価高の世の中ですので、「いきいき」よりも賃上げを期待している方々がいるのも事実です。5月30日の日経新聞朝刊によりますと、ベースアップを実施した企業は9割を超えたとのことでした。日経新聞の調査対象は「上場企業と日経新聞が独自に選んだ有力な非上場企業」なので、日本全体では9割を超えてはいないでしょうが、私が現場で感じる肌感覚でも5割は超えていると思います。「周りは上げているのに、うちは上げないの?」と思うのは自然な流れではないでしょうか。
ただ、政府が説明する賃上げの論理には首をひねらざるを得ません。
「賃金上昇」→「購買力上昇」→「適切な物価上昇」→「賃金上昇」
の好循環が賃上げの必要性らしいのですが、デフレ脱却に焦点を当てすぎていて、「いきいき働ける職場を、社員みずからレベルアップしたから、賃上げになる」という思想が無いように感じるのです。
私が伴走支援している会社様では、社員の幸せを思って、どの様に賃上げ、ベースアップすべきかを考えてらっしゃいます。伝え方も上手だなぁと感じます。
「皆が頑張って、会社の底力が上がったので、ベースアップできます。ありがとう」とか「働く職場が更にいきいきするように、これからの皆さんに期待をするので賃上げします」とか、です。
「物価高で、毎月の支払いも大変でしょうから賃上げします」といった要素も、説明の中に出てきたりはしますが、メインのメッセージではありません。いきいき働ける職場を支えているのは、そこにいる社員の方々だという思想があるからだと思います。
人を大切にする経営の大事さを分かっている会社は、社員の方々への伝え方も素敵になるのだなと感じます。そんな会社がもっと増えていくよう、これからも頑張ってまいります。
人財塾6期生・株式会社アタックス・ヒューマン・コンサルティング・永田 健二
社員に支払う給与や賞与は、その社員が会社に貢献してくれた結果として払うものなので、感謝のメッセージを添えたいですね。第三者にこれを説明すると理解はしてくれますが、実践までいくのがなかなか難しいです。人を大切にする経営……いい会社になるには、10年はかかると思い、地道に努力していきたいと思います。