目から鱗

マルクス・ガブリエル氏の著作に「わかりあえない他者と生きるー差別と分断を乗り越える哲学」(PHP新書)があります。マルクス・ガブリエル氏は「新しい実在論」を提唱している哲学者です。

 この本の中に次のような文章があります。

「私が倫理の観点から言っていることはすべて必ずビジネスに転換できます。」「社会の向上は皆にとっての経済的な利点に転換できます。必ずできます。関連付け、お金の流れと倫理的に良い行為を結びつけることに手を付ける必要があります。そうすれば豊かさと善を両立させられます。絶対に可能です。」と。その上でスイスを例に出して次のように言います。

「スイスはインフラが完璧に整備されており、サービスは非の打ちどころがなく、人も親切で、ホスピタリティが最高です。スイスほどの国は見たことがありません。  しかし驚くほどに裕福です。この二つは相関しているのだと思います。スイスは持続可能で親切でもてなしが厚く、完璧で、だから裕福なのです。裕福だから親切にする余裕があるのではありません。親切だから裕福なのです。目から鱗の発見ですよ。」

 私は、スイスについての知見がありませんのでスイスがガブリエル氏の言うほど親切で裕福なのかは分かりません。

 しかし人を大切にする経営に当てはめれば、ガブリエル氏の言っていることが真理だと分かります。上記の文章の「スイス」を皆さんが知っている「○○会社」に当てはめれば、人を大切にする経営学会がいつも言っていることになります。

 人を大切にする会社は、インフラが完璧に整備されており、サービスは非の打ちどころがなく、社員も親切で、ホスピタリティが最高です。人を大切にする会社は持続可能で親切でもてなしが厚く、完璧で、だから経営的に安定しているのです。経営的に安定しているから親切にする余裕があるのではありません。親切だから経営的に安定するのです。目から鱗です。

 (学会 法務部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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