「社員のために!」という思いを伝える
過日お会いしたある中間管理職の方とお話をしていた際、その方から「僕らの頃は、お客様のため、会社のために働いて、その結果自分のためになると思っていました。この順番が大切なんです。昭和の考え方なんでしょうけれど・・・」とお伺いしました。
この方のおっしゃっていることは正論だと思いました。しかし、一方でこの方は上司と部下との間に挟まれて鬱になられたそうです。
この会社は、必ずしも人を大切にする経営をされていない会社なのだと思いました。 このような誠実でまじめな社員を鬱にしてしまうような会社なのだと思います。
会社は公器であり、お客様を通じて社会に貢献するのが会社の本分です。
しかし、このことがいいことだからといって、社員に強制しようとしても難しいはずです。自らが満たされていない人が他者を満たすような自己犠牲的な利他を強要することになってしまいます。それでは社員は気持を込めて働くことはできないのではないでしょうか。
ここに人を大切にする経営が、社員とその家族を第一に大切にするという意義があるのだと思います。
昨今は、人手不足で何となく人財を大切にするという風潮が強くなってきました。
しかし大切なのは、経営者によるその確信と実践です。
経営者が社員を第一として、大切にすることによって、社員はお客様を大切にするのです。だから、経営者が社員に伝えることは、自分は、君たち社員とその家族を大切にする、という事だけでいいのです。
その思いが社員に伝わると、社員は自分の周り、つまり顧客を大切にするのだと思います。社員が、お客様のため、会社のためと心から思えるようになるのは、経営者が社員を大切にする、「社員のために!」という思いを存分に受け止めた時なのです。
(学会 法務部会 常任理事 弁護士山田勝彦)
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