オワハラとオヤカク
令和7年3月21日付けにて、内閣官房内閣審議官、文科省、厚労省、経産省の連名にて、2026(令和8)年度の就職・採用活動に関する要請が出されました。これは概ね毎年出されるもので、採用選考活動の開始時期や内定日等の時期を要請するものです。
今回は、この要請書の中に「オワハラ」の指摘がなされました。「オワハラ」とは、「就活終われハラスメント」の略称であり、企業が就活生に対して、内定承諾などを交換条件に就職活動を終えるように促す行為を指します。2015年に新語・流行語大賞に選ばれた言葉です。オワハラは職業選択の自由(憲法22条1項)に反するものであり、青少年の雇用の促進等に関する法律第4条による指針(厚生労働省告示第406号、令和3年4月30日改訂)に、「採用内定又は採用内々定を行うことと引替えに、他の事業主に対する就職活動を取りやめるよう強要すること等青少年の職業選択の自由を妨げる行為又は青少年の意思に反して就職活動の終了を強要する行為については、青少年に対する公平かつ公正な就 職機会の提供の観点から行わないこと。」とされています。
具体例として厚労省では次の例示をしています。
*自社の内(々)定と引換えに、他社への就職活動を取りやめるよう、強要すること
*他社の就職活動が物理的にできないよう、研修等への参加を求めること
*自由応募型の採用選考において、内(々)定と引換えに、大学等又は大学教員等からの推薦状の提出を求めること
*内定承諾書等の早期提出を強要することや、内定辞退の防止を目的として、内定を承諾することについて、保護者の同意を強要すること
この最後の項目は、現在問題化しており、これを「オヤカク」と言います。保護者の方に会社の情報を提供することは全く問題ありません。問題は、内定辞退をさせにくくするように保護者に同意を求める行為です。
*内(々)定辞退を申し出たにもかかわらず、引き留めるために、何度も話し合いを求めること
*内(々)定期間中に行われた業務性が強い研修について、内定辞退の防止を目的として、内(々)定を辞退した場合に研修費用の返還を求めること又は事前にその誓約書を要求すること
皆さんの会社がこのようなことはしないと思っていますが、就職活動で面接にきた就活生が他社からこのような取扱いを受けていて悩んでいるようであれば、ハローワーク等に相談するように勧めてください。
(学会 法務部会 常任理事 弁護士 山田勝彦)
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