新産業創出論

久方ぶりの投稿となります。特任研究員の亀井です。
修士修了から3年余り、あっと言う間に月日が流れたような気がしていますが、いよいよ後期開講に際し、このブログを書くことを思い立ちました。

自分は何の為に学んでいるのでしょうか? 大学院の教壇に立っているここ数年、何度となく社会人院生から、この問いを聞きました。その度に当時の自分と同じだなと思うと同時に、思い出す光景と1枚の絵があります。

何の為に学んでいるのだろうか? その答えが見つからぬまま、私は5年前の丁度今頃、坂本先生の新産業創出論講義に臨んでいました。夜も更けた頃、先生がヤマハ創業者で居られる故山葉寅楠氏のお話を始められました。日本製のオルガンを初めて製造した同氏が、浜松から重たいオルガンを担いで東京取調所へ向かう行を身振り交えて説明され、ホワイトボードにその姿絵を描かれました。同氏はどうしてそんな大変な思いをしてまでオルガンを開発したのだろうか? そう考えた時、使命という文字が浮かんだのです。当時、外国製のオルガンしかなく、当然価格は高い、日本の小学校は導入するのが大変だったことが推測されます。オルガンを須らく全ての小学生に弾かせてあげたいという思いが同氏を、その重さを物ともせず浜松東京間を往復するという行為に突き動かしたのではないだろうか。授業が終わり、私は先生の許しを得て、そのホワイトボードの絵を写真に撮らせて頂きました。それ以来、その写真がお守りのように私の迷いを消してくれたのです。もう写真は何処かへ消えてしまいましたが、今も心の中には鮮明に、あの時の先生の身振りと姿絵が焼き付いていて、時に挫けそうな自分を見つめてくれているような気がします。

新産業創出論、自分から迷いを消してくれたいちばん大切にしたい講義です。皆さんも是非受講されることをお勧めします。そして、受講者全員にお守りがもたらされんことを祈念しています。

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