経営者として人として大切にする経営
1月31日夜、紀伊国屋書店新宿本店で、驚異的大ヒットになっている「さらば価格競争」のセミナーが開催された。
法政大学大学院 坂本光司教授と紹介した21社の雛人形と五月人形で完璧な非価格競争を展開している「ふらここ」の若き原英洋社長のミニ講演。
原社長の「経営者として人として大切にする経営」は20分前後であった。
経営の目的は企業に関係するすべての人々の創造、中でも社員とその家族を大切にする経営に徹すると非価格競争の商品、サービスを堂々と提供できると確信した。
原社長の感動の講演内容については、後日、紹介するが、私が先月に提出した修士論文に取り上げた現代経営学との比較を紹介させていただく。
ドラッカー等(アメリカ)の経営学は目的でなく手段である。手段と目的、多くの人が間違える。
現代経営学との比較
バブル崩壊後の価値観は、売上至上主義から社員とその家族を大切にする経営へ変わり、同時に幸せを感じる経営へと変わる。
1.ドラッカ-(アメリカ)経営学と坂本経営学との違い
ドラッカーが亡くなる(2005年)1年半前に女性伝記作家のイーダス・ハイム氏を呼んで、何回かのドラッカーの取材と共にGEのジャックウェルチ等も取材し、彼女が1冊の本にまとめ出版している(イ-ダス・ハイム著、上田敦生訳(2007)『P.F.ドラッカ- 理想企業を求めて』ダイヤモンド社。
日本のドラッカー研究の第一人者の上田敦生氏にも取材があった。
ハイム氏のまとめも含めて、上田氏はドラッカーのマネジメントには以下の三つの役割があると定義している。
「自らの組織に特有の使命を果たす」「仕事を通じて働く人たちを生かす」「社会の問題について貢献する」である。
法政大学大学院坂本光司教授は、「会社経営の目的は、会社に関係するすべての人を幸せにすること」と定義する。
一方、ドラッカーは「企業の目的は、顧客を創造すること」。この違いは大きい。目的と手段を間違えるケースは日常茶飯事である。
経営者・学者として最も著名なドラッカーは、企業の目的の定義はただひとつ「顧客を創造すること」にある。顧客の創造とは、お客に求められているものを創造すること、、。
ドラッカーは以下のようなことも言っている。
顧客満足(CS)と従業員満足(ES)の二つが両立できてこそ、、。人を大切にすることと、業績をあげることとの間にどんな関係があるか私は分かりません。
そのことは産業心理学者たちが研究すればいい。ただ、そういうことが事実として実際に起こった。それだけで十分ではないかとドラッカーは言う。
2.経営の目的は業績の追求ではなく関係するすべての人々の幸せの創造
坂本教授著(2008-2016 計5冊)『日本でいちばん大切にしたい会社』(あさ出版)、同(2010)『経営者の手帳』(あさ出版)の中で「CS」を飛躍的に高めたいなら、その前に、「ES」を飛躍的に高めるべきである。
CS、つまり顧客満足度を高める経営は、極めて重要である。
事実、CSを重視しない企業、CSの低い企業で安定的な好業績を持続している企業は、この世に存在しない。だからこそ、重要なのはES、つまり社員満足度なのである。
「ESなくしてCSなし」である。社員満足度は顧客満足度に優先するといっても過言ではない。
それは、顧客満足度を高めるのは、社員だからだ。所属する組織や上司への満足度が低い社員、不信感のある社員が、顧客の満足度を高める、
価値ある仕事をするわけがないからである。つまりESが高ければ高いほど、組織への帰属意識や愛社心を高め、結果として組織や上司に貢献しようと努力するからである。
つづく
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