感動したDVDだった^ – ^

感動したDVDだった^ – ^

1年前^ – ^

ありがとう。

法政大学大学院、坂本光司教授がゼミで時々、紹介する介護・障がい者向けシューズメーカーにお客様から年間に2万3千件余り寄せられるお礼の手紙だ。
アンケートハガキはそれをかなり上回る。

数分のDVDの放映が終わると我々に伝え続けている坂本教授もハンカチを取り出した。

『ありがとう』を伝えたくて。

数年前の冬のある日のこと。
父が顔を血まみれにして散歩から帰って来ました。
散歩中、アスファルトの道路で手をつかずに顔面から転んでしまったようです。
父は47歳のときに脳梗塞で倒れて以来、言葉がしゃべれなくなり右半身には麻痺がありました。
日に日に衰えていく身体を少しでも鍛えようと思ったのか、杖をついて右足を引きずりながら近所の神社へのお参りを日課にしていました。

傷だらけの顔の父に、私は怒り気味に事情を尋ねました。
『何で転んだんや。満足に歩けんのにふらふら散歩に行くからや。家でじっとしとれ』

なにもないけどころんだ。

父は脳梗塞の後遺症で言葉がしゃべれないため、50音や数字が書かれたキーボードをひと文字ずつ指で押して発せられる機械の音声で会話をしていました。
『何も無いところで転ぶハズないやろが』

くつがひかかった。

『靴が引っ掛かった?靴のせいにするなよ。もう足腰が弱っとるんやから、散歩は車イスで行ってくれ。これ以上、家族を心配させんなよ』

いやや。じぶんであるく。

父は、凍るようなアスファルトの田舎道で転び、自分で起き上がることもできずにうつ伏せでずっと助けを待っていたそうです。

自分の父親がこの寒空の下で倒れたまま身動きできない姿を想像すると、涙が出そうになりました。
その後も父は私がいくら止めても散歩をやめようとしませんでした。

それから1か月。父がおでこに紫色の大きなコブを作って帰って来ました。今度は全身が泥だらけ。つまずいた拍子に田んぼへ転がり落ちてしまったそうです。さすがに私も、『ええ加減にせえ!もう歩いて外に出るなよ!』と怒鳴ってしまいました。

数日後、母が友人から教えてもらったという、変わったシューズを買って帰りました。一般的なものとは違う、ちょっと地味で見たことの無いシューズです。

父はすぐにそのシューズを履いてみました。それはあらゆるところに工夫が施されていて、右手が不自由な父でも自分で脱ぎ履きができます。

さいきんはべんりなくつがあるもんやな

父はその風変わりなシューズで懲りずに出掛けて行きました。散歩から帰って来てひと言。もうころばん。久しぶりに見る父の笑顔でした。1年半が過ぎ・・・突然の危篤から、他界。誤嚥性肺炎でした。

まるで同じ場所で足踏みをしているようにしか見えないほどほとんど前に進めなくても、父は亡くなる前日まで自分の足で歩いていました。

毎日散歩していたために寝たきりになることもなく、父らしい最後を迎えることができたように思います。
今も、父が使っていたキーボードの音声が耳に残っています。

もうころばん。

父の笑顔は御社のあゆみシューズのお陰です。ありがとうございました。

そして、どんな苦難にも『前進』することの大切さを教えてくれた父へ。

ありがとう。

この介護・障がい者向けシューズメーカーは
「徳武産業」さんだ。徳島県にある。必要だと思い当たる方がいたらネットで検索して欲しい。

Facebookページがある。
女性社員が主に進めているようだ^_^

日曜日に続く。

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