衛生対策のイカリ消毒②「再起」

イカリ消毒株式会社の黒澤眞次代表取締役会長さんの話は続きます。(メモ 研究生/中小企業診断士 神原哲也)
 デパート火災は悔やんでも悔やんでも悔やみきれない事態です。兄弟は「命で償おう」と思いました。その中で、お詫びに行ったデパートのオーナーには「あなたたちはまだ若い」となんと激励の言葉を頂いたのです。
 私たち兄弟はそのオーナーのご恩に報いるために再起を誓いました。
 デパート火災は無知が生んだ事故でした。そこで二度と事故を起こさないため、イカリは専門家集団を目指すことにしました。そのために私が率先して、資格取得に取り組みます。私は朝型人間に生まれ変わりました。今では82の資格を保有しています。
 危険物取扱主任者、衛生管理者、環境カウンセラー、倫理経営上級インストラクター、職業訓練士など仕事関係だけでなく、唎酒師や仲人などの資格も取得しています。これまでに社員37組の仲人をしており、仲人名人位のタイトルをもらっています。
 社員にも資格の取得を奨励しました。今では1人平均(正社員数は847人)で7件以上を取得しています。専門家集団には顧客からさまざまな困りごとが寄せられます。それを解決しているうちに当社の保有する知的所有権(出願中を含み)は600件以上になりました。
 その代表例が自動防鼠システム「Jライン」です(2005年度グッドデザイン賞)。専用のダクトの所々にネズミを誘引する侵入口があり、そこからネズミが侵入すると、センサーが働き、その侵入口が閉まり、システムの制御部にネズミを吸引、瞬時に凍結する仕組みです。
 他にも色々あリます。虫に脳しんとうを与えて捕獲して虫の計数管理ができるシステムや栄養剤をネズミに食べさせて一種の糖尿病を起こす安楽死のような退治の仕方も開発しています。
 その結果、現在では取引先4万社という会社になっています。(イカリ消毒の業績(売上高と利益)と従業員数は創業時からほぼ右肩上がっており、そのグラフを見た坂本教授は「まるで伊那食品工業のようだ」とその場でコメントしています)
 黒澤さんは、資格の話の延長で、自身が操縦するセスナ機の墜落の話に触れました。乗っていたのは自分を含めて2人。セスナ機は破損しましたが、燃料に引火することもなく、2人とも無傷だったのです。「天に貯金をしてきたからかもしれない」と黒澤さんは語っています。
(5日アップの③に続く)

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