第2回人を大切にする経営大学院事業(水上印刷)

昨日今日と、人を大切にする経営学会の大学院事業の第2回です。

初日の講師は、水上印刷の水上会長と社員の方です。
水上印刷株式会社(以下、水上印刷)は、創業1946年70年以上の歴史がある東京新宿に本社をおく印刷会社です。企画から製造、配送まですべて水上印刷で360°フルサービスで提供しているのが特長です。

フルサービスとは、従来、別々の会社が請け負っていたサービスをワンストップで、全ての機能を請け負うことを言います。
①マーケティング=マーケティング会社
②クリエイティブ=デザイン会社
③ものづくり=印刷業者
④アッセンブリー在庫管理=倉庫業者
⑤発送・配送=物流会社

このフルサービスを水上印刷1社で行うことで、印刷市場が、1980年代後半から1990年代前半を頂点に1999年以降、落ち込み、現在、多くの会社が赤字、黒字の印刷会社も1%台の低利益率が多い中、水上印刷は、約10%経常利益を上げ続けています。
水上印刷は、売上高3兆円シェア57%を2社で占めるガリバー大日本印刷と凸版印刷と競合しても勝ったR社の事例を、詳しくお話をいただきました。。

「お客様以上に、お客様を知る」を合言葉に徹底的にお客様を研究し、「ものづくり(印刷)では、色のデジタル化や世界で一つしかない機械の導入、アッセンブリー在庫管理と発送・配送の場面では、全国一店舗毎に異なるチラシを個別に内容、部数等をキッティング(配送先別に分類)してスピード配送するといったワンストップでの提供を機敏に提供できるからです。

ここに、中小企業ならではの戦い方があります。

水上会長からは、2000年~2005年に掛けて写真フィルム関係の売上比率が3割でした。しかし、デジタルカメラ化が急速に進み、3割の売上が無くなってしまうという危機に陥りました。市場消滅で、ある日突然、ゼロになってしまったのです。そこで、2006年、イギリス、ドイツ、アメリカへとビジネスモデルを求めて、海外に視察に行きました。運よくイギリスで最初に行った1社目がフルサービスをやっていたので、業態変革に踏み切ったのです。
現在も水上会長だけでなく、毎年、海外の印刷会社をはじめ、様々な業態の会社を訪問しています。

水上印刷の成長は、こうしたインプットにあるに違いありません。

また、水上会長は、全日本印刷組合連合会という中小企業団体で、当時約6400社、就業人員12万8000人 2兆数千億円という巨大組織の会長職を長年務められました。
大変でしたが、多くの経営者を関わるいい機会になったと言われました。
そこで気づいたのは、現状維持でいいと経営を諦めている経営者と、努力して利益を出している一握りのいい会社の経営者がいることがわかったそうです。

水上会長は「現状維持でいい」という経営者に、かなりの抵抗を感じたと言います。
「これでいいのか・・経営者が現状維持でいいと言ったら、社員やその家族に対して、本当に愛情を持っているかと、そんな会社に社員は夢が持てるのかと・・」
現状維持などはあり得ない、デジタル化他、印刷業界が激流の中、衰退しかないと思っていたからです。
そして、現状維持でいう経営者は、どうやって利益を出していいのかが分からないと言います。こうした状況の中で、業態変革をしよう!と、業界で訴え続けました。

今回の講義での社員の方が、
採用、人財育成、業務改善の具体的なお話が圧巻でした。
まさに、長期に渡る改善の連続。
社員一人当たり年間200時間、びっくりするような金額の教育投資

坂本先生の最後のお礼の言葉は、
「今日のお話は、水上会長のお話に加えて、社員のお話も、どこの会社にコンサルタントといって入っても通用する素晴らしい話でした。」
「一度、大学院事業の授業があるこの1年間に、きれいな工場でしか、いいものが造れない。と取り組んでいる現場に是非、行っていただきたい」

私自身もここまで、継続的に改善ができる会社の凄さに改めて驚かされました。

今日は、アタックスグループの代表パートナー西浦道明人を大切にする経営学会副会長の後継経営に関するお話です。通常の講演の短い時間では、聞けない深堀りしたお話は、本当に勉強になります。

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