チームプレーについて思う
前回のこのブログ原稿で、日本大学アメフト部の
悪質タックル問題を題材に、
企業の勝利至上主義の功罪について書かせていただいた。
ただ、スポーツは決して悪いことばかりではなく、
企業経営を考える上で共通することも数多くある。
昔からスポーツは、
①個人の力を終結させ、いかにチームとして結果を出すか
②ずば抜けた能力を持つ個人がどんなに好成績を残しても、
チームプレーができなければ勝つことはできない
③自分たちが勝てるものは何かを考え、徹底的に磨き上げる
④チームの勝利のために、自分が果たすべき役割を考え、
個人が育つ
など、会社経営と似ている部分が数多くあるといわれている。
少し古い事例にはなるが、箱根駅伝を4連覇した
青山学院大学陸上部監督の原晋氏の指導にも、
それが表れている。
原氏は指導者になる前の10年間、サラリーマン生活を送っている。
「サラリーマン時代、ひとつの目標に向かって
どう取り組んでいくのか、鍛えられました。
陸上の指導も、ビジネスに当てはめただけですよ。
中身が違えども、やり方は共通する部分があると思います。
チームの目標だけではなく、個人の目標も立てて、
その両方の目標に向かっていくことで
個人・チームを成長させる」。
具体的には、選手個人の1年間の目標はもちろん、
1ヶ月ごとの目標、それから週の目標を細かく設定させ、
それをグループミーティングの中で、
進捗状況到達度を確認させるようにさせた。
これにより選手に自己管理、自分が果たすべき役割・
やるべきことを徹底させ、個人を成長させた。
これは、企業内で取り入れられている目標管理シート・
業務進捗確認面談の手法を取り入れたものである。
また練習方法も、長距離を走る陸上競技は、
とにかく走りこみや腹筋・腕立てなどの筋力トレーニングを
行うことで、体を鍛えるというものが多い中で、
常に、この練習はどんな目的で行うのか。
レース当日にどう生かされるのかを考えて、
メニュー・環境が設定される。
大学キャンパス内に、専用グラウンドや
山登り・山下りを想定したクロスカントリー用の
コースも設置した。
常にレースを意識した練習でないと
当日100%発揮することは難しい。
これもサラリーマン時代の営業活動の中から
身につけたことだ。
最後に、スポーツの経験を活かし、経営に取り組む
30代の若手経営者から聞いた話を紹介する。
その社長は、小さい頃から、将来はプロ野球選手になることを志し、
中学・高校と、野球が第一の生活を過ごしていた。
特に高校時代は、高校球児憧れの甲子園に行きたいという思いだけで、
チームのことよりも、とにかく自分がうまくなるために必死だった。
ただ、その思いは他のメンバーも同様だったようで、
当時のチームは個々の能力は間違いなく高かった。
しかし、試合になると、なぜか負けが続いた。
「今回のメンバーはすごい選手が集まっている。
これなら甲子園出場も夢ではない。」
と周囲からは言われたが、ふたを開けてみたら、
チームという組織でみればバラバラだった。
今思えば、個人プレーでは組織はまとまらないし、
例え、個人でいいものを持っていても、
チームとしては勝てない。
だからこそ、一体感を持ち、何の目標に進んでいくのか
というところを、しっかりと全員が共通して持っていないと、
組織というのは成り立たないということを学んだ。
野球の目的は当然勝つことなのだが、
当時のチームは個々人の成績にフォーカスしすぎたために、
チームとしての輪がうまくまとまらず、
最終的に敗退したという経験があるので、
やはり、チーム・組織は大事だということを、
スポーツを通して学んだと話してくれた。
人を大切にする経営学会事務局支援スタッフ 坂本洋介
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