経営者の仕事は、本業に徹し、3つの役割を果たすこと

昨日、中小企業基盤整備機構のお仕事で、経営者の方々を対象の「経営トップセミナー」を担当しました。

午前中、坂本先生が、そもそも論として、「人を大切にする経営学講義」にあるような本質的なお話を3時間行い、
午後、私が「日本でいちばん大切にしたい100の指標」を参加者に記入いただきながら3時間、バズセッションと解説を行いました。

坂本先生が話された内容の一部を、お伝えします。

「経営者の最大の仕事は三つだけである。」

経営者の仕事は、企業の売上高を高めることでも、コストを下げることでも、さらにはその結果としての利益率を向上させると言った、いわゆる業績を高めるための仕事をすることではありません。

経営者の最大の仕事は3つであり、そのためにこそ存在意義がある。

一つ目は、進むべき方向を決断し、全社員に明示すること

二つ目は、全社員が目標に向かって主体的努力を行えるような、良い職場を整備、充実すること

三つ目は、後継者を発掘し、育てることである

あえて言えばこの3つ以外は、社員を信頼し、任せればよく、社員を育てるのは、先輩社員の仕事、先輩社員を育てるのは、管理者の仕事と言われました。

全く議論の余地がなく、その通りだと思います。

経営者によっては、少し企業経営が軌道に乗ってきたりすると油断が生じたり、勘違いする人も出てきます。

しかし、本来、経営は、そんなにうまくいくはずがないと思っている位、用心深い方がいいと思います。
将棋の羽生善治さんが、国民栄誉賞を受賞しましたが、かつて、大名人と言われた大山康晴15世名人は、

「長考するときは、形勢がいいとき、形勢が悪いときは、打ち手は限られている。本来、こんなにうまくいくはずがない・・何か落とし穴があるのではないか?と確認するために時間を使っていんです」

と言われました。

素人のヘボ将棋であれば、全く逆で、形勢が悪くなったときに時間を使います。
ここが、一流と二流、三流との違いだと思います。

世界のYKKに成長させた吉田忠雄さんも、大山名人と同じようなことを言っています。

「少し会社がうまくいくと、やたら、マスコミに出たり、講演ばかりやったり、他のことに手を出したりといったする会社を、汽船会社と言っているんですよ。シュッシュポッポと汽笛をあげて騒ぎまくる。そうした会社はやがてダメになります。本物の会社は謙虚で騒ぎ立てたりはしません。そんな暇なんてないですよ。経営で大切なのは、地道に本来、やらなければならないことをしっかりやることだと思います。」

私自身、20代に聞いた大山名人とYKK吉田忠雄さんの、この2つの話が脳裏に焼き付いていて、坂本先生の経営者の3つの役割と合わせると、経営者が大切しなければならないことがわかります。

以前、中小企業の新卒採用コンサルティングで一世を風靡したワイキューブ。当時としては珍しかった「企業ブランディング」に力を入れ、メディアでの露出が多かった安田氏の経営はおかしい。やがて、おかしくなると、私が書いた本の中で予測しました。こうした予想は、YKKの吉田忠雄さんの考えがベースにあったからだと覆います。結果、ワイキューブは、多額の負債で倒産しました。

また、今でも、講演をしまくっていて、よく取り上げられる経営者に、直接、言ったこともあります。

「こんなに講演をやっていて、本業は大丈夫か?」

すると、その経営者は、
「会社の宣伝になるからいいんだよ。と言われました。

私は、経営者が講演をすることを否定しているのではなりません。
限度を超えてはいけない。ほどほどにしておく必要がある思っているだけです。

講演をしまくる経営者は、本来の自社の経営理念は何なのか?経営者として、本当に坂本先生が言っている3つの役割を果たしているのか、つまり、そこに時間を割いているのかを考えるべきではないでしょうか?

まさに、坂本先生の著書「人を大切にする経営学講義(PHP)」にあるような、そもそも論が、最も今の時代、経営に必要だと痛感します。

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