中小企業の経営理念と転職的離職率について

中小企業の経営理念と転職的離職率について

1.法政大学大学院 坂本光司教授とゼミ生が鹿児島市のラグーナ出版さんから出版した[いい経営理念が会社を変える]の261 Pからは興味深い。
従業員1000人以下の会社にアンケートを実施して、残った1000社の結果を見ると転職的離職を防ぐことができると思う。

転職的離職とは、寿退社等以外で退職する場合だ。社長や上司の態度に不満等で他社に転職することを言う。

上司には家業を継ぐとか年老いた親を見るので田舎に帰るとかを理由にするが同僚社員は真実を知っているが上司や社長だけが真実を知らないことも多いと思う。

2.同書には、
転職した離職率別の経営理念等の策定年数の違いで、創業から1年以内に経営理念等を策定した場合は、転職的離職率が0パーセントが75パーセントもあり、転職的離職率が0=ないになっている。

坂本教授が次のように執筆している。
経営理念には、社会適応、企業内統合、経営実践の3つの機能がある。

組織形成の初期段階で経営理念を策定することで企業内統制機能が働き、転職的離職率が低くなっていることが推察される。

経営理念は企業の目的そのものであり、経営管理における重要な機能を果たし、策定そのものに意義があり、効果が大きいことが分かる。

3.中小企業の経営理念の有無をネットから拾った。
今年3月の沖縄県那覇市の396社の結果は、経営理念を明文化しているが34%、明文化していないが59%、未回答が7%だ。
那覇市の実態調査http://www.city.naha.okinawa.jp/jittaityousahoukokusho_zentai.pdf

4.社員を採用する会社説明会で、①社長が経営理念を説明しているか、②社員が説明しているか、③何も説明していないか、この違いは大きいと思う。
大阪市の[天彦産業]さんは樋口社長が会社説明をする。

採用の合否は社員に一任すると潜在意識で自分より優秀な入社希望者には追い抜かれると思い優秀な逸材を落としてしまうこともある。

面談やワークショップで社長が加わったり、①入社の動機、②入社したらやりたいこと、③我が社への提案をA4版1枚で手書きで書いていただき、社長は全員分、目を通す手もある。

5.ターニングポイント、この苦しさがあったから今日があると社長が説明すると離職率が低くなるのではないかと思う。
ターニングポイントは坂本会長の[日本でいちばん大切にしたい会社1〜6]にはすべて記載している。テレビ東京系列で放映されている[カンプリア宮殿]もターニングポイントが紹介される。
動画に残したり、過去の写真等も使いターニングポイントを再現して欲しい。

65社にはないが、埼玉県三芳町の[石坂産業]さんは反対派がデータをねつ造したのをマスコミに報道され地獄へ、再開しても色々、、。

東京銀座の[ランクアップ]さん、岩崎社長は終電続きで肌があれ、会社を立ち上げたが、研修に行った若い社員は呆然となり幹部だけの会社と分かり研修講師からは社長、すぐ来いと呼び出しがあったり、、。

会社訪問をしてターニングポイントを質問すると、社長から1日や半日かかると言われるものである。経営理念等には明示していないと思うので、説明資料も必要だと思う。

6.結婚退職、出産退職、年老いた両親の面倒をみる、共働きでどちらかが転勤する場合等、テレワーク(在宅勤務)、転勤先で関連会社に勤務する等、退職を防ぐことができる時代だ。

7.266Pには、経営理念を改定したことがある企業は16.8%しかない。
歴史がある企業、社長の世代交代時期等に、また、経営理念がない会社は社長が方向を示して1年間かけて策定するのも良いと思う。

8.社員とその家族、21世紀は障がい者、高齢者、女性、外国人が主役なので、経営理念、経営方針等に明示して欲しい。

9.初代から2代目へ3代目へ4代目、、へ継承することも多い。
親族で継承する場合は30代前半までは親への反発をするが、40代になれば親に感謝して次代の良さを活かして欲しい。
後継者・候補がいる場合は社長と共に先頭を切って欲しい。

何度か、先代の社長をけなす話を聞いた。先代への感謝が欠けると会社の存続が危機になる場合がある。

10.行政、信金、商工会議所、業界団体で存続・発展するために明文化された経営理念の有無、活用法等をテーマにアンケートやヒヤリングをして、報告書を作成し活用して欲しい。

平成22年の、関東経済産業局の地域社会における企業経営のあり方についての調査は大変参考になる。
http://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2011fy/0024753.pdf

11.行政も首長(知事、市町村長)次第だ。人口減少が予測される場合でも数は少ないが増加が予測される場合でも、首長が方向性、目的、目標を明示して積極的に行動するかどうかで発展するか大きく分かれる。4年に一度の首長選挙は運命を決する。

私が住む市は30年先まで人口増が予想されている。
が、市報を見ると、職員ができない、やりたくない理由を並べている。公務員の前例がないからの最悪のサイクルに入っている感じがする。次回の選挙は2年後だ。

経営理念、56社の事例は様々だ。一歩踏み出して欲しい。

人を大切にする経営学会
中部支部
知野 進一郎

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