出来ない事よりも出来ることに目を向ける経営

皆さんは、愛知県東海市にある株式会社仙拓と言う会社をご存知でしょうか。
この会社は10万人に1人の難病「脊髄性筋萎縮症」を患う佐藤仙務(さとう ひさむ)さんが同病の松元拓也さんと立ち上げた会社です。
自ら寝たきり社長と公言し、動くのは親指や顔だけという状況でITを活用し独自の勤務体制で障害者雇用を進めている素晴らしい会社です。

佐藤仙務社長が起業しようと考えたのは、特別支援学校を卒業後、自分も普通に兄たちと同じように就職できると思っていたのですが、現実は厳しく、全く就職できず挫折を繰り返し、時には傷つく言葉を浴びたこともあったと言います。
そんな思いが、働くことをあきらめるどころか原動力となり「自分で働いて、稼いでみたかったし、自分が一歩踏み出せば、ほかの障害者も働けるようになれるのではないか」と19歳で起業したのでした。

この自身が障がいにより差別を受けて就職できなかった経験から、障がい者のために
働く場を提供し、障がい者にも生きがいを見つけて欲しいという思いで起業したと言えば、法政大学大学院の学友で2年前に志半ばで亡くなった服部義典さんの事を思い出さずにはいられません。
共に障がい者のために起業し、自らの命を懸けている姿に、私自身の生き方を問われているような気がしました。

そんな佐藤仙務社長が健常者では思いつかないような素晴らしい取り組みを始めました。
それは、障がい者がカウンセリング技術を身に付け、在宅でテレビ電話を通じて独居の高齢者などの話し相手となり、認知症予防や見守りサービスを行うというものです。
今年度からこの取り組みに仙拓の所在地である東海市が協力して、障がい者のカウンセリング資格の取得費用に補助を出したりして、後押しを始めました。
この試みが上手く行けば、社会課題となっている障がい者の就労や独居老人の見守り問題など、一石二鳥となり、全国の自治体でも取り組んでくれることを期待したいです。

更に、佐藤仙務社長は、今秋から京都大学の「京都ものづくりバレー構想の研究と推進講座」の研究員となり、自身の体験を生かし、最先端のロボット開発に取り組む研究者に助言し、ロボットの力で障害者が自立できる社会の実現のために開発を後押しすることとなりました。
就任を依頼した京大経営管理大学院の高瀬進特定助教は「開発者は技術力の高さをアピールできるロボットを作りがちだが、佐藤さんとタッグを組むことで障害者が真に必要なロボット開発につなげられる」と期待しているとコメントされていました。
これもまさに、健常者ではなく障がい者だからできることであると考えると、我々がいかに
障がい者と言うだけで、非常にもったいない人的資源を無駄にしているのかと言うことを
佐藤仙務社長から教えられ、そして認識を変えなければいけないと思いました。
障がい者だけではなく、人を大切にする経営とは、社員一人ひとりの「出来ないことを指摘するのではなく、出来ることを活用する経営なんだと今更ですが気付かされました。

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