試用期間とはいうけれど

▼試用期間とはいうけれど

日本の会社の多くは、採用時に試用期間を設けていると思います。
よくあるのは3ヶ月、延長をしても6ヶ月というところが
多いのではないでしょうか。
試用期間なのだから、その間に様子をみて、
不適切であれば採用しない、ということができるかというと、
そう簡単ではありません。
試用期間とは、法律的には、会社が採用を解約できる権利を
留保している状態と言われます。
とすれば、正規採用よりも解約をしやすいはずですが、
判例は、試用期間を経て採用しないことについて、
「雇入れ後の解雇にあたり、客観的で合売的な理由が存し、
社会通念上相当として是認できるものでなければならない」
として、ほぼ正規雇用した者の解雇と同じ基準を上げています。
ただ、これでは試用期間の意味が全くなくなってしまうので、
この「留保解約権に基づく解雇(本採用しないこと)は、
これを通常の解雇と全く同一に論ずることはできず、
前者については、後者の場合よりも広い範囲における解雇の自由が
認められてしかるべきものといわなければならない」
としています。(わかりづらいですよね?)

▼本採用拒否は難しい?
具体的にいうと、重要な健康告知義務に反していたり、
会社が求めていた技術を持っているとして試用期間に入ったが、
実際にはそのようなスキルがなかったり、
というようにはっきりしている理由が必要だということになります。
中小企業は、社員の人数が少ないので、会社の理念に合わない、
社風に合わないような場合、残念ながらその人の影響が他の社員に作用し、
会社の雰囲気が悪くなってしまうことがあったりします。
人を大切にする経営では、社員教育を通じて、理念に合う、
社風に合う社員に育てる努力が必要だとも言えますが、
早い段階で、お互いのために別れを選択することもあると思います。
しかし、このような理由での本採用拒否は、
裁判上ではほとんど認められないでしょう。

▼6ヶ月の嘱託社員という考え方
人を大切にする経営学会の副会長である
株式会社日本レーザーの近藤宣之会長は、
採用時に6ヶ月の嘱託社員契約をすることを勧めています。
この仕組みであれば、あくまで有期雇用ですので、
期間が終了すれば一旦は雇用契約は解消されます。
その上で正規採用するということにより、
万一の場合でも試用期間のような争いになることもありません。
ちなみに、日本レーザーでは、このような制度を採用しているものの、
一度も本採用にならなかったことはないそうです。

(学会 法務研究部会 常任理事 弁護士山田勝彦)

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