誰のための働き方改革か

  「だから、ま、けっきょく社員に向けての制度ってんじゃなくって、外に向けてって感じなんすよねぇ。」(サイボウズ 「働き方改革、楽しくないのはなぜだろう。」ソーシャルムービー「イクメン編」より )
少子高齢化による労働力人口の減少を総人口に対する労働力率を上げることによって食い止める、このために何が必要か。それはいままでは労働力人口とみなさず利用してこなかった労働力を利用できる構造に社会を変化させるということである。「一億総活躍」とは「一億総産業労働力化」の意味である。
 そのような労働力構造の変化は、経営者と労働者の意識を変える国家プロジェクトであって、首相官邸が旗を振り、厚生労働省が施策を定め、経団連に代表される経済団体、連合に代表される労働団体がその実行のための計画を作り、参加企業や参加組合に実施をもとめていく、という流れで国民を総動員する形で運動がすすめられていく。それは日本社会のあるべき方向にむかって大きな変革を進めるために悪いことではない。期限を切った数値目標を定めて取り組むことも必要だろう。
 しかし、経団連参加企業だからこの取り組みにも参加せねば、いついつまでにこれをやらねば、という意識で経営者がこれに取り組めば、それは上意下達の働き方改革もどきとなり、中身のない報告のための活動になってしまう。「働き方改革」実践においては、働く人の声をきくことから始めなければならないことは言うまでもない。
なぜなら、この運動の目的は、労働力を活用する組織の体制を整備することと合わせて、労働力を提供する働く人の就労への意欲を高めることだからである。
 従業員数の多い大企業においてはもちろん従業員の属性も多様であり、すべての従業員の意向を踏まえて働き方改革を行うことは相応の労力を必要とする。だからこそ、経営者の姿勢と力量が問われる。
自分は働けないと思っていた人が働く意欲を持てる、介護や育児で仕事をやめなければならないと思っていた人が勤め続けられると思える、正社員になるなんて無理だとおもっていた人が正社員になる希望を持てる、そのような意識をもつ人を増やしていくために経営者の継続的な努力が必要である。
 以前会社で、ノー残業デーの水曜日に「はい6時です。みなさん、帰ってくださーい。」というお願いをしてまわっていた。責任感の強い部下は外で仕事をしようとし、私はそれをだめだといいながらも許していた。そうしないと回らないからである。それでも回らない分は自分が引き受けて深夜残業をする、そんな環境だった。今、官民挙げて取り組まれている「働き方改革」でいろいろと試行錯誤があるのは当然だが、その大目標である「働く方一人ひとりが、より良い将来の展望を持ち得るようにする」、「より多くの方が心豊かな家庭をもてるようになる」という大目標のために政府、経営者、労働者それぞれが正しい方向で努力が積み重ねられることを望みたい。
人を大切にする経営人財塾生 野村 国康

参考URL
「働き方改革、楽しくないのはなぜだろう。」サイボウズ ホームページ
https://cybozu.co.jp/20th/
「働き方改革の実現」首相官邸ホームページ
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/ichiokusoukatsuyaku/hatarakikata.html
「働き方改革アクションプラン」経団連ホームページ
http://www.keidanren.or.jp/policy/wlb/actionplan.html

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