世の中で素晴らしいことがあるとすれば、人のためにすること

「たった一つ、世の中で素晴らしいことがあるとすれば、それは、人のためにすること」

これは、私が、社会に出てしばらくした20代にある経営者から聞いた言葉です。

人のため・・と言っていても、自分の人脈を増やすため。。であれば、厳密に言えば、それは、自分のためであるため、なかなか傍目には難しい面もあると思います。

もう一つ、臨済宗僧侶山田無文さんから、次のようなことを聞きました。
山田無文さんは、
チベット探検で有名な河口慧海を頼って出家しましたが、あまりの厳しい生活に結核になってしまいました。
毎日、寝たきりで過ごすなかで、どうして自分がこうしたことになってしまったのか・・と悔やでばかりいたそうです。
ところが、ある朝、ふと気づいたことがあります。

「今まで、自分の力で生きてきたと思っていたが、こうした空気、水があるお蔭で、いろいろな人が自分のことを支えているお蔭で、生かされている」

こうした心境になった時、不治の病といわれた結核が治り、元気になったそうです。

たった1回の人生を「わがまま」に生きることは重要です。しかし、時として、自分が「わがまま」に生きることが、他の人の「他がまま」を阻害することにならなりません。一方、他の人の「他がまま」ばかりを認めていたらいいのかと言えば、それも違います。同じく、その人の「他がまま」を許したことにより、「我儘」になってしまうこともあるからです。だからこそ、「生きている面と生かされている面」をしっかり意識することが重要なのだと思います。

20代に聞いたこの二人の言葉は、私自身のその後の人生観に大きな影響を与えました。

仕事柄、大手上場企業から中小企業、ベンチャー起業家など、多くの経営者にお会いする機会に恵まれました。

しかし、有名な経営者も様々で、今まで大きな実績を上げてきた経営者の中には、自分の功績を声高々に、本に書いたり、講演で話すといった方もいます。こうした経営者を見ると、正直、引いてしまうことが少なくありません。

まもなく、今上陛下が退位されますが、自慢話を聞いたことがありません。
むしろ、「象徴天皇として、多くの国民に支えられて・・」
と感謝のお言葉を発せられます。なぜ、天皇が威張らないか?それは、威張る必要がないからです。

こうした思いから、10年前に前職を辞めて起業した際、次のようなことを、組織の基本構想といった価値観を確認する文面に書きました。

「管理者になったら50%、幹部になったら70%、トップになったら90%、人のことを考えることが重要である。そして、そうした人でなければ、いくら業績を上げたとしても、絶対に要職に就かせない!」

これは、自分自身への自戒を込めたものです。

今回、3月20日、坂本光司会長、坂本洋介さん、藤井で共著を出すことになりました。

当初、出版社からは、坂本光司&人を大切にする経営学会でとの申し出がありました。坂本先生の名前を全面に出した方が、本が売れるからといった理由です。確かに私もそう思い了解しました。

しかし、坂本会長は、
「三人で書いたのだから、共著にした方がいい」

と言われ、共著としての出版になりました。

私自身は、坂本先生のお蔭げで21冊目になります。しかし、一方、感謝しながらも、これでいいのか?と思います。

むしろ、自分が起業した会社に入ってきてくれた社員が商業出版で出せるようにするのが、本当の意味で経営者としてなすべきことではないか・・・と思うからです。

そして、もし、弊社の社員の中から、商業出版できるような人が育ったら、私自身も少しは、人に誇れるのではないかと坂本先生の判断から心から思います。

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