企業経営は、かけがえのない人をつくらないことが大切

多くの人は、基本的な欲求として、
「かけがえのない人になりたいと努力」
をします。このことは、尊いことです。

一方、組織は、
「かけがえにない人をつくらない努力」
をしなければなりません。

なぜなら、かけがえのない人も、いつかは、年を取り、組織を去らなければならない日が来るからです。
その日来たときに、組織が困らないようにするためです。

しかし、実績を上げた経営者の中にも、このことに気づかない方もいることが残念です。
会長になっても、相談役になっても、いつも、功労者である自分が主役なのです。

第8回 日本でいちばん大切にしたい会社経済産業大臣賞を受賞を受賞した萩原工業株式会社の
萩原 邦章 代表取締役会長 は、非常に厳しい経営環境を乗り越え、東証一部上場に導いた
功労者です。

前職の会社で研修で同社を担当したことがあり、若くして社長に就任した萩原邦章会長のことは、
以前から存じ上げていました。そして、約20年のブランクを経て、中国支部の立ち上げで再開しました。

そして、経済産業大臣賞受賞したときには、浅野和志社長に引き継いでいました。
審査でお伺いした際、社長室に通されましたがが、萩原会長ご自身は、小さな会長室にいました。
私自身、改めて、萩原会長に尊敬の念を抱きました。もし、萩原会長が、いつまでも、かけがえのない経営者として、前面に出ていたとしたら、浅野社長に交代する必要がないでしょう。

坂本光司会長は、「社長と会長の違いは我慢の度合いである」と言います。
●現業に口を出さない
将来の課題について社長と話をしたり意見を述べるのは構いませんが、現業(今やっていること)について意見や文句を言うのは禁句です。なぜなら、社長と会長の指示や意見が異なれば「社員が迷うから」です...社員の立場に立てば分かります。

●社長より働いてはいけない
社長より早く出社することも、社長よりも遅くまで会社にいることも、社長よりたくさん仕事をすることも厳禁です。
組織のあるべき姿や、組織の役割や、組織の仕組みをきちんとわきまえて行動すべきです。なぜならトップではないからです。

もし、口を出したかったり、社長より働きたいのなら、引退すべきではないのです。
任せたらすべてを任せる必要があります。

老子は、「善く行くものは轍迹(てっせき)なし」という言葉を残しています。

善行をしても、それを誇示したりせず、迹(あと)を残さない事こそ無為自然の生き方だというのです。

人は、往々にして自分のことを誇りたくなります。企業において業績をあげたりすると、それを自分の功績として人に知らせ誇りたいと思うのは致し方ありません。しかし、老子はその自己顕示欲こそが我執であり、そんな気持ちで行った行為はすでに自分のための行動であり、善行ではないと教えています。

そして本来の天地自然に沿った行動とは、

「何事も自然のままの行動なので、誰がやったかわからないし、恩をきせるような事もしない」

というのです。

また、

人生の本当の価値は形に残らない・・・・

とも言います。自分の人生を評価する基準はまず結果として今なにを手にしているか、何を残せたか、という事になりやすいものです。地位や名誉や金銭を多く手にしている人は意義ある人生だったと考え、それがあまりないと、たいした人生ではないと評価しやすいものです。

老子が考える「理想のリーダー」とは、自分の存在を意識させない人であり、自分の功績はおろか、存在すら大げさに意識させることなく「そんな人がいたね」という程度に認識されているくらいがいいと言います。

晩年を汚さないためには、リーダーは、「かけがえのない人を作らない」 まして、自分自身が、かけがえのない人で居続け、会長になっても自分が主役といったことにならないのが、真のリーダーであると思います。

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