人を大切にする経営学会 経営人財塾での教育の目的

日本国紙幣が20年振りに変わることが発表されました。近々データで日本のキャッシュレス化が20%、国策で進めた韓国約90%、キャッシュレス先進国スエーデン、キャッシュレスが進まないと言われていた米国までが、50%弱になる中、偽造対策とは言え、キャッシュレス化で大きく他国に遅れている日本のこの時期の発表に多少違和感があります。タンス預金の掃き出しだといった予想もある中、今後の日本のキャッシュの政策をどのようにすべきかについて考えさせられました。

「そこの障子を開けてみよ、外は広いぞ」

は、豊田自動織機(トヨタ自動車の親会社)創業者豊田佐吉氏の言葉ですが、まさに、当時から、諸外国に事情を絶えずウォッチしていたことが、世界のトヨタに成長した要因だと思います。

5千円札の新渡戸稲造(にとべいなぞう)は、次の3つの実績があります。
1.教育者としての多くの実績
2.著書『武士道』を出版、思想家として活躍の実績
3.国際連盟事務次長を務め、平和に尽力の実績

新渡戸稲造は、随想録の中で、教育の目的について、人間形成、人格形成ということが修養の基盤になるという考え方を書いています。

第一の目的~職業教育である。技能を身に付け、職業人として立っていくための教育。(仕事をうまくやるため)

第二の目的~趣味として学問や芸術を学ぶ。
      (職業に限らず、余暇を利用して学問教養を身に付けることを楽しむ)

第三の目的~装飾のための教育。
      学問を一種の飾りとしてやることも人生を楽しくし、幅をもたせる。(新しいことを知ることは楽しい)

第四の目的~真理の探究
      実用には向かなくても物事の原理、真理を探求していくことは重要である。

第五の目的~人格を高尚にする
      専門で狭められた学者になるような教育ではなく、世の中がうまくいくようにする学問。

そして、新渡戸稲造は、第五の目的である、コンモンセンス(常識、さらに良識)を高めることの意義・重要性について、次のような言葉を述べている。

『「あれは一寸学者見たような、百姓見たような、役人見たような、弁護士見たような、商人見たようなところもある」という、なんだか訳のわからぬ奴が、僕の理想とする人間だ、学問の最大目的は、人間を円満に発達せしめることである。人間は真理を研究する道具ではない。君子は器ならずということを考えたならば学問の最大且つ最高の目的は、おそらくこの人格を養うことで無いかと思う。』 

全人教育が大切であり、幅広く知っていることによって円満な人格を形成していくといった意味です。

人を大切にする経営学会 第2期経営人財塾が4月12日~13日スタートしました。

1日目
赤岩茂常任理事(報徳事務所代表(公認会計士・税理士)による報徳思想~企業経営・経営者はどうあるか?についての講義

2日目
坂本光司会長による1年間のガイダンスを含めて、やはり、どう生きる、どう働く、といったそもそも論について、事例を交えて1日実施されました。坂本会長が用意された様々なお話を輪読する際には、受講生の中には涙がこぼす方もいました。まさに、心の教育です。

私自身、大学卒業以来、34年間、社員研修、コンサルティングの世界に身を置きましたが、職能教育が中心であると思います。社会人経験後、大学院に行っても、「やり方中心」でした。

自分自身の経験を振り返っても、
1.理念教育
2.態度・行動教育
3.価値観教育
4.職能教育

がありますが、1~3が極端にないのが、学校教育、企業内研修の実態だと思います。

他のビジネススクールとの大きな違いは、上記の1~3が、人を大切にする経営学会の経営人財塾の教育の目的である「心の教育」なのです。

第1回目が無事終了し、安堵の帰宅電車での中でスマホでニュースを見ると、複数のメディアに、いみじくも、第2期人を大切にする経営学会経営人財塾の初日である4月12日の同日、東京大学の2019年度入学式が日本武道館で行われた女性学のパイオニアである社会学者の上野千鶴子名誉教授が登壇し話した内容が紹介されていました。

全文が紹介されていますので、是非、読んで下さい。

https://www.u-tokyo.ac.jp/ja/about/president/b_message31_03.html

一部紹介すると、
東大生1名に公金約500万円が使われていることにも触れ、祝辞の後半で次のように話しています。

「世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと…たちがいます。がんばる前から、「しょせんおまえなんか」「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。
あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれないひとびとを貶(おとし)めるためにではなく、そういうひとびとを助けるために使ってください。」

坂本会長は、
「知の教育だけでは、身につけた知を人殺しに使う。だからこそ、徳や志の教育が重要である」

と繰り返し使われます。ご紹介した上野千鶴子名誉教授の言葉とも通じます。

まさに、今、教育の考え方を根本から見直す時期に来ていると感じます。そのために、人を大切にする経営学会が開催する経営人財塾の意義があると思います。

「武士道」は、海外でも紹介されたベストセラーですが、「修養」には、「何をするか」より「何のためか」といった第1回の経営塾で話された「あり方」について、書かれています。

坂本光司会長が、事例一切なしで、経営学の「そもそも論」を書いた本です。一読と言わず、何度も読み返すことで理解が深まると思います。

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