「売上を、減らそう」~佰食屋~

京都にスゴイ飲食店があるらしい。その名は「佰食屋」。
このお店のウェブサイトにはこう書かれています。
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食の安全がささやかれる時代に、安心、安全で美 味しいものを皆様にご提供したい。
しかも、誰でも食べに行ける値段にもこだわりたい。そんな思いを形にしたのが、佰食屋。
新鮮なものを食べてほしいから、当店には冷凍庫 がありません。毎日100人分の食材を仕入れ、 100人にご提供する。そうすることで、新鮮で 作りたての美味しいお料理をご提供することが出来ます。
大人も小さなお子様も、みんなが安心して食べてほしいから、
原材料は無添加、無化学調味料。これが、佰食屋のお約束です。
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代表の中村朱美氏は京都生まれの35歳。夫の自慢料理のステーキ丼があまりに美味しくて「死ぬ前にはこの一杯を食べたい。このステーキ丼を独り占めしてしまうのではなく、みんなにも食べてもらいたい。」と、飲食業での経験ゼロから夫婦二人で佰食屋を立ち上げたのだそうです。
これだけでもなんて素敵なお店なのだろう、是非一度は行ってみたい!と思います。
しかし、このお店のすごいところはこんなものではありません。

「自分が嫌なことを従業員にはさせない会社をつくりたい。」を原点に、1日100食のランチ営業(11:00~14:30ラストオーダー)のみ、「早く売り切ることができたら早く帰れる」そして「家族揃って晩ごはんを食べられる」経営をしています。
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佰食屋は、お客様のことだけを大切にするのではありません。いちばん大切なのは、「従業員のみんな」です。仕事が終わって帰るとき、外が明るいと、それだけでなんだか嬉しい気持ちになりませんか?そんな気持ちを、従業員のみんなにも味わってほしい。
だから、佰食屋が出した答えは、「売上をギリギリまで減らそう」でした。
(PRESIDENT Online:連載「『売上げを、減らそう』絶対に100食しか出さない行列店の働き方」からの抜粋)
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この会社はその採用もすごいのです。(以下、PRESIDENT Online:連載「『売上げを、減らそう』佰食屋が”意識の高い人”を採用しないワケ」からの引用、抜粋)
求人はハローワークにしか出さない。採用基準は、「いまいる従業員たちと合う人」の一点だけ。「誰がやってもできること」を「コツコツと丁寧に、毎日決められたとおりにきちんとやる」人。従業員は話すのが苦手で不器用。でも、言われたことをきちんと真面目にして、毎日同じ仕事を黙々とこなすことが得意。そして、どんなお客様にも丁寧に接してくれる。
それが、佰食屋にとっての「仕事ができる人」なのだといいます。
毎日同じことを繰り返すからこそ、些細な変化や違和感に気づくことができるし、違和感に気づいたところから、お客様がもっと過ごしやすくなる、自分たちがもっと働きやすくなるアイデアが、日々、提案されるそうです。例えば、「店員に声をかけなくても好きなだけお茶を飲めるように、ボトルをさまざまなところに配置したい」「海外からのお客様は味噌汁を飲む際スプーンを使うようなので、最初からスプーンをお出しするのはどうか」といったおもてなしの心が育まれているのだそうです。
「誰でもできる仕事をAIでなく、人間がやっているからこそ、仕事はどんどんと洗練されていく。すると、変化のない単調な環境に彩りが生まれ、みんながさらに楽しく、さらに余裕を持って働ける環境になるのです。」
佰食屋は、シングルマザーや聴覚障害を持つ人など、多様な人材の雇用実績が評価され「新・ダイバーシティ 経営企業100選」に選出もされています。

こんな会社があることに、とてもワクワクします。一度は行ってみたいです。
※この原稿を書いている6/25(月)には、ガイアの夜明けで特集が放映されました。

人を大切にする経営学会人財塾 松久 知美

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