就業規則の役割

今回は【人を大切にする経営学会】メールマガジン 第252号でご紹介した、

「就業規則の役割について」をお届けします。

就業規則の役割

(1)ステージ1(従来型の就業規則)

従来型の就業規則は,労働者が就業するにあたって遵守すべき規則、服務規律を中心とする内容を定めるもの,すなわち会社から社員に対して一方的に示されるルールと理解されてきました。

(2)ステージ2(現代型の就業規則)

もっとも,現在では,厚生労働省のモデル就業規則に代表されるように,社員側において遵守すべき服務規律を定めるのみならず、本来社員と会社の個別合意(労働契約)によって定められるべき労働条件についても規定されているのが一般的になっています。

単に社員が会社に対して守るべき規則という意味だけではなく、会社が社員に対して守るべき規則という双方向的な意味合いを含んでいます。

人を大切にする経営を実践する会社の就業規則

(1)現代型の就業規則による対応の限界

しかし,人を大切にする経営を実践する会社では,社員や社員の家族の幸せを軸に,協力会社,地域社会の幸せをも実現するため,働き方の多様化、人財の多様化が求められており,厚生労働省モデルに代表される現代型の就業規則では対応が困難な状況が生まれているのではないかと考えています。人を大切にする会社において最も重視される「社員とその家族の幸せ」は,例えば,「安心して働ける」「やりがいをもって働ける」「自分が必要とされていることを実感しながら働ける」「自分の成長を実感しながら働ける」「自分のライフスタイルに合わせて働ける」「自分の価値観を大切にして働ける」等様々な要素が挙げられると思います。そこで、その幸せ実現のために必要なのは,「会社の永続的な存続・発展と社員の幸せを保障する制度」であると位置づけ,そのためのツールとして就業規則の積極的な活用を考えます。

(2)ステージ3(人を大切にする(社員を幸せにする)就業規則)

先ほど述べた通り,働き方の多様化、会社が求める人財の多様化、働き甲斐を重視する社員に対応可能な就業規則においては,単に社員を厳しく拘束する制度でも単に社員を甘やかす制度でもなく,社員の働き甲斐の発見をサポートする就業規則であることが求められると思います。そこでは,経営者と社員共に共感できる経営理念が必要であり,その経営理念に貫かれた各種制度が規定された就業規則とイメージできます。

具体的には,

ア 経営理念が明確に示されており経営者と社員がそれを共有できる就業規則

イ 社員にとって自分が会社においてできること,すべきことがわかりやすく 記載されている身近な就業規則

ウ 法的に求められる記載事項(絶対的記載事項)を満たす就業規則

ということができるかと思いますが、皆様はいかが思われましたでしょうか。

学会 法務研究部会 弁護士杉田敬光

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