「100の指標」を実感する

政府は、コロナウイルス対策としていくつかの支援を計画していますが、スピードも総量も現実経済にマッチしていません。収益が減っても固定費支出は変わらず、中小零細の中には、ここ数ヶ月を持ち堪えられない厳しい状況です。各種経済支援も焼け石に水のレベルですし、雇用調整助成金も実際に現金が企業に入るには数ヶ月のタイムラグが生じます。

 結局、政府の支援に頼ることなく、企業自らが防衛をしなければなりません。

 ご承知のとおり「『日本でいちばん大切にしたい会社』がわかる100の指標」には、97項で「内部留保金が年間人件費総額を上回っている」との指標があります。東日本大震災の時にも、この条項の大切さは身にしみましたが、それでも「年間人件費総額」というのはハードルが高いと思っておりました。しかし、今回のコロナウイルスの状況を見ておりますと、「年間人件費総額を上回る」ことの重要性を強く感じます。今回の緊急事態宣言が5月6日に無事終了すればいいのですが、見通しとしては数ヶ月はかかる可能性があります。業種によってやむを得ず社員に出社してもらわなければならない場合もあろうかと思いますが、指標97項がクリアできている会社は、安心して休業等の措置をとることもできます。

 また指標95項「総資本対自己資本率は50%以上である」との指標もクリアしていれば、仮に内部留保が足りなくても、自己資本率が高ければ、今回のような緊急事態に、一定程度以上の融資枠を設定することもできるでしょう。

 100の指標では、人を直接的に大切にする指標が強調されがちですが、「10 経営全般に関する指標」もとても重要だと改めて考えさせられました。

(学会研究法務部会 常務理事 弁護士山田勝彦)

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