働く時間について

働く時間について

5月4日の朝日新聞に、「年収が高い専門職の人を労働時間規制から外す

「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」を導入した企業が、

昨年4月の制度開始から1年間で約10社、適用された働き手が

414人にとどまることが厚生労働省の集計でわかった。」

との記事がありました。この高プロ規定は過労死を助長するとして、

働き方改革の中でも特に批判の強かった規定です。

1日8時間の労働時間

そもそも1日8時間労働となってきた歴史は、

ロバートオーウェン(イギリス)が1817年に自分の会社で

目標としたスローガン

「Eight hours labour, Eight hours recreation, Eight hours rest」

「仕事に8時間を、レクリエイションに8時間、休息に8時間」

によると言われています。産業革命当時、労働時間は10時間から16時間働き、

週休は1日でした。世界基準として労働時間が規定されるのは、

約100年後の1919年、ILO第1回総会です。ここで1日8時間、

週48時間の基準が確立されました。日本では、1947年の労働基準法で

初めて1日8時間の制限が規定されました。

しかし今はロバートオーウェンがスローガンを提唱してか

ら既に200年以上経っています。

ITが発達し、200年前よりも明らかに労働生産性は高まっているはずです。

それにも関わらず、なぜ今でも労働時間は、200年前に提唱された

1日8時間を基準としているのでしょうか。そして更に「高プロ」のように

8時間以上の労働を認めようとしているのでしょうか。

超過労働は時代に逆行

これからは単純労働は、どんどんIT化していき、人間は知的労働・

頭脳労働に、と棲み分けがなされていくと言われています。

知的労働・頭脳労働、つまりアイディアやイノベーションの創造は、

時間概念には馴染みません。1日8時間、実験室、PCの前にいても

成果が出るわけではありません。経営を創造してきた経営者の皆さんは

日頃から経験されていると思いますが、アイディアなどは、

机の上ではなく、入浴中だったり、夜中に目覚めた時だったり、

仕事とは全く別のことをしている時に閃いたりします。

これらを労働時間として縛ることはできません。

現在の労基法や行政の発想は、まだ時代に追いついていないのです。

「高プロ」規定が広まらないのは時代にマッチして

いないからではないでしょうか。行政は、

新しい労働観を確立する必要があるように思います。

(学会 法務研究部会 常務理事 弁護士山田勝彦)

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